ミルモでポン!長編

□モミに隠れたモミ
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サスケとハンゾーは、息をするのも忘れてしまっていて、恐怖からか、怒りからか、小さな手は強く強く拳を握り、見開いた目は動揺しながらも真っ直ぐ蝶を捉えていた


会うのは二度目になる


「おまえ……あの時の!」

ギリ、とサスケの歯が音をたてる
自分たちにとっての全てのはじまり
ヤマネが襲われたあの日と、変わらない様子でそこに立っていた事にサスケたちは怒った


少しでも反省や悔やむ気持ちがあるのなら許せた。
謝って、カンタンに終われることではないけど、でもやっぱり無垢な二人は無意識に蝶が反省することを望んだ

でも蝶はあの日見た蝶だった


「なんでヤマネを、みんなを傷つけるのらっ?」

「さあ?私は気まぐれな妖精。ただの暇潰しだったんじゃない?」

価値観はそれぞれだとよく言う。
しかし、誰かを傷つけたというのに罪の意識が感じられない彼女は理解出来ない。

「おまえ、何したかわかってるんだぜ!?
誰かを傷つけちゃダメなんだぜ!
ごめんなさいなんだぜ!!」

「わぁ、腹抱えて笑いたい
虫を潰すことに罪悪感もつ奴なんかいないでしょ?」

「なっ……」

「妖精忍者は虫以下だよ」


サスケとハンゾーが言い返そうと口を開いた時

「もういい、よくわかった」

張り詰めた空気の中、カラスがサスケたちの三歩前に出た

「オレは多分プライド高いし、忍者であることに誇りも持ってる。
忍者には憧れてるひとも、嫌いな奴も、好きなひとも、間抜けもいるけど
結局はオレは忍者が好きだ
とか並べてみたけど、」

カラスはどこからともなく2つの銀を出し、手慣れたようにそれらをくるくる回した

「そんな御託はどうでもいいんだ」

2つの銀が、空からの光を反射する
蝶は不敵に口角を上げた


「――ヤマネを傷つけただ?
なんだよそれ初耳だぞ。
これだから脇役の脇役は嫌なんだ」


両手に握られた短刀のうち1つを蝶に突き出す
カラスの目付きは今日も悪い





 
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