ミルモでポン!長編
□フラグ立てなきゃ進めない
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「……兄貴〜 ぜんぜん釣れないぜ?」
「おサカナさんねてるのら?」
「うぅむ……」
魚が水の底へ潜ってしまう時間。
釣りの修行をするのはいいが、釣れないのなら意味がない。
「釣りは根気が大切なのでございますね……」
厳しい修行でございます……。息をつくヤマネを、土手の上から桃たちが見ていた。
「手伝うって言ったって、カラスくんいないよ?」
木に身を潜める楓に
「そのうち来るわよ」
堂々と観察する桃が相変わらず無責任に言った
「(こんなのっていいのかなぁ)」
楓が苦笑する。
しかし楓は頼まれたら断れないお人好しだ。
それに恋のお節介焼きとして、この話を無下にできない。
悶々とする楓に、ミルモはヤレヤレと溜め息をついた
「――来たっ!」
桃の声に、方向を変えて見るとそこには話に聞いていた通りの真っ黒な妖精がヤマネたちの方へ歩いていってる。
ヤマネもカラスに気づき、近寄った
「こんにちはでございます」
「よ、よう……!また会ったな!」
不器用な声でそう言うカラスに、いやお前会いに来てるんだろ?とツッコミたくなる
「お主は昨日の……」
ヤシチたちもカラスに近寄る。
カラスは鋭い目付きを更に鋭くさせた。つまり睨んだ。ヤシチにだけ。
「!?」
「カラス、昨日に引き続き観光なうなんだぜ?」
「なうなのら?」
「な、なう……?」
カラスは脱力しながら目をパチパチした。
どうやら風当たりが強いのはヤシチだけらしく、ヤシチは昨日何か失礼な事でもしたかと記憶をめぐらせる。
「充分仲良さそうに見えるけどな」
様子を見ていたミルモが興味無さげに言った。
それに対し桃は双眼鏡から目を離して
「まだまだね。あんなのただのお友達、もしくはそれ以下の関係よ
まったく、奥手なひとってこれだから……」
そう言ってから、不機嫌な顔のままミルモの名を呼んだ
「ミルモ!ヤマネとカラスを二人きりにしてちょうだい」
「んー」
桃の命令をめんどくさそうに聞き、めんどくさそうにマラカスを出した。