小説

□As true as a labyrinth
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☆Chapter1 始まり☆

目の前がチカチカする…
此所は何処なのだろうか 時計の音が幽かに聞こえる
ドアや壁に肩と右手をつきながら歩く
私の口からは息が漏れ、頭はクラクラする
睡眠薬を飲んだように、意識が朦朧とするのだ

「ワタシハ一体何ヲ、何処ヲ目指シテイルノダロウ」

小さく呟き 視界がどんどん白黒に見えてくる
ふと下を見ると、階段が目の前にあった
とてもじゃないがこの状態で階段を降りるとはまず、無理だろう
そう思い引き返そうとしたが 体がこの場から動かない

『振り向いてはいけない、引き返してはいけない』

不意にそう思った
少し色が付いていた白黒の視界は、色がだんだんと白や黒に変わってゆく
呆然と目の前にある階段を眺めていると、手摺りがある事に気がついた
手摺に掴まる手が震えながらも、下に一段一段降りる
震える両手、フラつく足、白黒の視界、朦朧とする意識

『一体私ニ何ガ…アッタノダロウ』

思い出そうとするが頭は回らない
いや違う、回らないんじゃなくて 回ってはいけない気がするのだ
階段は残り一段になり、その一段を踏み 一階に降りた
私の視界は最早 白黒ではなく灰色や黒に近い

「このまま死んでしまうのか…どこに行けばいいかわからないまま」
そう口遊むと向の方から

ガタンッ

と音がした
私はその音に引き寄せられるように 足を進めた

             ★Chapter1 END★
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