short

□甘い毒
1ページ/1ページ

「ちょこれいと?」

「はい。丁度お店に入荷して、店長が少しくださったんです」

「いいのか……?こんな高価なもの」

「白子さんにはいつもお世話になっていますから」




にこにこと純真な笑顔を向ける未琴と純粋な興味に負けて、俺は差し出されたものをありがたく受け取る。
包みを開けば、おそらくひと手間加えてくれたのであろう、想像よりも多いちょこれいとがあった。
そのまま渡さない辺りが実に未琴らしい。




「いただきます」




一つ摘まんで口に入れると、和菓子には無い甘さが広がる。
和菓子より濃厚なそれは初めて食べたが嫌ではない。




「美味しい」

「本当ですか!お口に合ったみたいで良かったです」

「うん。特に胡桃、かな?良い味出してるね」




その言葉に未琴の瞳が更に輝く。
なるほど、加えてくれたひと手間は胡桃か。
相変わらずそういった創作が上手い。

本当に美味しくて手が止まらず、気付けば最後の一つになってしまった。
もっと大事に食べるべきだったと少しだけ後悔。
そして俺をじっと見つめていた未琴と目が合った。




「ごめん、もしかしなくても食べたかった?」

「い、いえ!私は白子さんに喜んでいただければそれで」

「でも折角美味しいから、一緒に食べようか?」

「えっ……?」




俺は最後の一欠片を口に放り、溶け出す前に未琴の顎を掬い唇を重ねる。
至近距離で合わさった視線に慌てて目を閉じる姿が愛らしい。
唇を割って舌を淹れれば、大袈裟な程肩が揺れて思わず目を細めた。
嗜虐的な趣味は無いつもりだが、こうも可愛い反応をされると困る。

泥沼に嵌まる前に何とか唇を離す。




「し、しらすさ……」

「ふふっ、ご馳走さま」

「……」

「あれ、もしかして……」




―足りなかった?




わざとらしく尋ねれば、音がしそうな程勢いよく真っ赤に染まる頬。
加えて潤んだ瞳で見上げられ、俺は手遅れを悟った。







(俺は足りないな)(えっ!?)(もっと可愛い反応見せてよ)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ