plan

□テイクアウトで
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「(次で終わりにするか)」




ドリブルをしながらそう考えていたら、視界の端に映った時計にぎょっとした。
8時を指すそれに、どんだけ集中してたんだと自分に苦笑いが零れる。
確かに、一緒に残っていた大坪をはじめとする他のレギュラーが帰ってからだいぶ経つ気がする。




「未琴、わりぃ。遅くなった」

「大丈夫ですよ。お疲れ様です」

「さんきゅ」

「清志先輩、着替えちゃって下さい。片付けは私がしますから」

「え。いやでも、」

「選手のサポートをするのがマネージャーの役目です。だから気にしないで下さい」




程よく冷えたスポドリと新しいタオルを差し出しながらそう告げる未琴は、本当に良く出来たマネージャーだと感心する。
加えて未琴の笑顔を向けられたら、ぶっちゃけ練習の疲れなんて吹っ飛んじまう。

オレは未琴の言葉に甘えて、さっさと着替えることにした。




「ほんと悪ぃな。お袋さんたち心配すんだろ」

「平気です。お母さんは夜勤だし、お父さんも残業してから帰るって連絡がありましたから」

「それでもこんなに遅くちゃ心配させちまうだろ。つか、未琴夕飯は?」

「適当に作ろうかと思ってます」

「ふーん」




興味がないような返事をしてしまったけど、もしかしてこれってチャンスじゃねーか?
普段は部活でなかなか構ってやれないし、学年も違うから会話なんて帰り道の今くらいしか出来ない。
もう少し一緒にいたいと思っても、罰は当たらねぇよな?




「なあ、未琴」

「はい」

「良かったらメシ食って帰んねぇ?」

「でも、いいんですか?」

「いいから誘ってんだよ。察しろ轢くぞ」

「じゃあ、是非」




清志先輩とご飯なんて嬉しいです。だなんて、花が綻ぶような笑顔を浮かべる未琴はズルい。
オレは抱き締めたくなる衝動を何とか抑えるために、早足でファミレスまでの道を歩いた。






「お待たせ致しました。ストロベリーパフェとホットコーヒーになります」

「わあ!美味しそう!」




食事も済ませて、最後に運ばれてきたデザートに目を輝かせる未琴は年相応に愛らしい。
おいしー!と、幸せそうにふにゃりと笑う姿は、見ているこっちまで幸せになる。




「そんなに美味いか?」

「はい!清志先輩も食べます?」




ごく自然に向けられたスプーンには、生クリームや苺が乗っかっている。
これはいわゆる、あーん。をオレにやれってか?
残念だけど、その要望には応えらんねーわ。




「清志先輩?いらないんで……んっ」

「あっま」

「ちょ、えっ……いい今っ」

「ん?ごちそーさま」

「ここっ、おみせ、で……人がっ」

「あー、なんか我慢出来なくて」




未琴、可愛すぎ。
素直に伝えれば未琴は、ぼふん。と音がしそうな程真っ赤になって、口をぱくぱくさせた。







(あ、あのっ、清志先輩!そそそういうことは、外ではちょっと……)(じゃあ何?オレんちならいいのか?)(え……)(未琴も大胆だな)(ち、違っ)((やべー、超可愛い))


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