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□君の隣は譲れない
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「あー、今日も疲れたー」




腕を伸ばして部活で酷使した身体をほぐす。
何気なく動かした視線の先に、煌々と明かりの灯る体育館が見えた。

第二を使っているのは確か女バスだったはず。
テスト前のこんな時間に明かりが点いてるってことはもしかして……。
そんなことを考えながら、オレの足はすでに第二体育館に向かっていた。
こっそり覗いてみた体育館では、予想通りの人物が自主練をしていた。




「(本当、兄妹揃ってストイックだよなー。加えて成績優秀とかマジ尊敬)」




オレは特徴的な蜂蜜色の髪をなびかせて、流れる汗も気にせず練習に打ち込む未琴ちゃんの姿に思わず見惚れた。
努力の成果であろう真ちゃん並の精度のシュートは、綺麗の一言に尽きると思う。

もうちょっとだけそんな一生懸命な未琴ちゃんを見てたかったけど、やっぱ見てるだけじゃつまんねーわ。




「未琴ちゃん」

「え……あ、和成。お疲れ様」

「お疲れー。相変わらずキレーなシュートだな」

「あ、りがと……」




そう言いながら視線を彷徨わせるのは、未琴ちゃんが照れているときのクセ。
そーいや、宮地サンもデレるときは視線を外すかも……。
あ、もちろんオレはデレられたことなんてないけど。




「和成」

「ん?」

「こっち見ながらニヤニヤしないで。刺されたいの?」

「え、ちょっ。辛辣!」




ジト目でオレを見る未琴ちゃんは顔に似合わない毒を吐く。
そういうところは似なくていいのに……せっかくの可愛い顔が台無しだぜ?
なーんてくだらないことを考えつつ、オレはその視線を笑顔でかわした。




「じゃなくて!未琴ちゃん、一緒に帰ろうぜ」

「あー……和成ごめん」

「どしたの?」

「今日、あと50本残ってるの。だからまだ時間かかるし……」




先に帰っていいよ。と下がった眉が言外に伝えている。
待っててすぐ準備するから!とか普通の子なら言いそうなところで、練習を優先させるあたりが未琴ちゃんらしい。
いやまあ、そんなとこも好きなんだけど。




「別にいいぜ?ここで待ってっから」

「だって、和成勉強……」

「だいじょーぶだって!いざとなったら未琴ちゃんに教えてもらうし」




少しだけ渋った様子の未琴ちゃんは、引く気がないオレに気付いて諦めたのかシュート練を再開した。
好きにして。って聞こえたけど、耳赤くなってるぜ?

クラスでは頼りになるキャラの未琴ちゃんの、そんな姿が見られるのはオレだけの特権。
これは兄である宮地サンにも絶対に譲れねぇ。




「100……っと」

「未琴ちゃん!」

「わっ!ちょっと和成!離れて、沈めるよ」

「えー、だってオレ我慢してたんだぜ?ご褒美くらいちょーだいよ」

「はあっ?!寝言は寝て言って。ぶっとばすよ」

「わー!未琴ちゃん恐ーい」




口ではそう言ったって、自分からは離れようとしないってことはつまり、そーいうことっしょ?
オレはトクベツだってさ……少しくらい自惚れてもいいよな?




「和成」

「なに?未琴ちゃ…………っ!?」

「待っててくれてありがと。今度一緒に勉強しよう」




未琴ちゃんに呼ばれたと思ったら、ほっぺに柔らかい感触。
俺の肩に手を添えて、背伸びをする未琴ちゃんが堪らなく可愛い。
欲を言えば、口じゃないのが残念かな。







(未琴ちゃん、もっかい!次はくち……ぶふっ)(調子に乗んなバカ!轢かれろ!)(え?オレはもう未琴ちゃんに惹かれて……ぐはっ)(堕ちろそして帰ってくんな、ばかずなり。私はお兄と帰る!)



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