T
□第2章
4ページ/12ページ
―ザーフェス・国境レイエ河
1頭のドラゴンがレイエ河へと風を切り裂くように飛んでいた。
"…あれがネダリアの国境警備か"
ネダリア側の河岸に1つの建物が見えてきた。
―"エイラン"国境警備部隊本部・通称レーベル
つまり、エナ、ダウルたちがいる場所――――…
"こんなちっぽけなものでオレ達を防ごうというのか"
なめられたものだ――とドラゴンは見下したように呟いた。
だが、レーベルに近づくにつれて多くのドラゴンの気配を感じはじめる。
"…数はなかなかいるようだな"
ドラゴンは風を利用し、一気に空を上昇した。
―…それにしても、監視の目が厳しくなった。
こちらを動きを察知したのか…
なんにせよ、油断は出来ないな…
ドラゴンは上昇後もレーベルとの距離を保つように飛びながら、考えを巡らせていた。
―――その時
"…風が………?…"
風向きが変わり、ドラゴンはある匂いに気づいた。