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□第2章
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「おかえり、フィー」
ダウルは振り返り、声の主を迎える。
「んふ、ただいまぁ♡」
甘ったるい声の持ち主のフィーこと、フィネージュは勢いよくダウルに抱き着いた。
「お疲れさま、グウェン」
エナは抱き合う2人をよそ目に、フィネージュと一緒に帰ってきた男性に声をかけた。
「………眠たい」
グウェンこと、グウェンジーガは小さな声でぼそりと呟いた。
「報告終わったら寝ていいよ」
ふふっ――とエナは微笑みながら答えた。
「…ん。じゃあ報告する」
グウェンジーガは眠たい目を擦りながら、報告をはじめた。
「…予想は当たってた」
…"報告"のはずだが、その一言しか言わない。
「…"ジエレン"だったわ。ドラゴンの腹にマークがあったもの」
グウェンジーガの言葉を補うように、今度はフィネージュが話しはじめた。
「姿を隠して近づいたんだけど、すぐに気づかれちゃったわ。」
フィネージュは少し肩を竦める。
「そうか…。色は何だった?」
ダウルはフィネージュと抱き合い、美しい深紅の髪を梳いていた。
フィネージュはうっとりと彼のするがままになっていたが、突如身体を離した。
「赤よ」
私と同じだったわ――とフィネージュは嫌悪感をあらわにする。