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□第1章
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そこにいたのは、もちろん……
オイデンのパートナー・ラザル
しかも数百はあるだろう水の剣をオイデンに向けていた。
「よ…よぉ、ラザル」
オイデンは少し上擦った声でラザルに話し掛けた。さすがに氷の剣を向けられて、平然とできる人はいない。
そんなオイデンの顔を見て薄く笑いながらラザルは答えた。
「…逃げたと思えば次はおしゃべりか…? オイデン」
「いやっ………あの……ね、ラザル。ちょっと……ねっ?…ねっ?…」
これはヤバいと察したのか、オイデンは吃りつつセルアの部屋の窓の方へと後ずさりはじめた瞬間―――
"プチンっ"
何かが切れる音が聞こえた。
「……………なにが"ねっ?"だ………」
ラザルが醸し出すオーラを一段と黒く染め上げた。
オイデン様/親父、死んだな……
セルアとシイグは静かにオイデンを哀れんだ。
「………いい加減遊んでねぇで、自分で仕事しやがれぇぇぇ!!」
"音通り"キレたラザルが、怒号とともに水の剣をオイデンに向けて放った。
「ぎぃゃぁぁぁぁぁ!!」
放たれた剣を避けようとして、オイデンは叫び声をあげながら窓から外へと逃げ出した。
――正しくは、落ちていった。
「待ちやがれ、このサボリ魔がぁぁぁ!!」
氷の剣達を引き連れたラザルがオイデンの後を追いかけ、窓から外へと飛び出していった。