rally game.04

□指切り一つに針千本
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火神夢


タイガ! と嬉しそうに待ち合わせ場所に来た彼女はタイガと呼ばれた少年に嬉しそうに抱き着いた。 流暢に交わされている英語からは嬉しさが滲み出ていて、 二人は恋人同士だということがわかる。
 だが、 タイガの方は少し曇り気味な顔をしていて、 彼のその異変に気付いた彼女はどうしたのか、 と聞いた。 彼は、 少し迷った挙げ句に日本に、 帰ることになった、 と告げた。
 彼女はその一言が、 頭の中で反芻して目眩がした。 日本、 タイガの故郷、 なんで急に、 と途切れ途切れに言った彼女に悪い、 とまた返事をした。 彼女は涙目になりながら震える声で了承した。 行って欲しくないとかわがままは言ってはいけない。 だから、 笑顔で大人になったら私がタイガを迎えに行くからね、 と返すしかなかった。
 普通逆だろ、 とタイガは笑いながら言った。 彼女はそんな彼に小指を立てて向けた。 彼が何をするのかと見ていた時に指切り、 と言うと酷く驚かれた。 これは氷室から教えて貰った事で、 あのあと少し調べていたら面白いというか怖いというか、 そんな事が記されていて驚いた。 その意味も含めて彼と指切りをした。 嘘をついたら針千本飲まされる、 火神に嘘は付けない約束をしたかった。


「待っててね、 いつかタイガを迎えに行くから」
「だから逆だろ」


 そう言って笑い合った、 ある日の出来事を思い出した私はまた笑った。 タイガがこっちに戻ってきていると聞いているけどまだ彼には会わない。 約束はまだ果たされていないから。

火神大我
行き過ぎて後に /あさき

指切り一つに針千本
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フリーリクエストより、珠希様に書いて頂きました
有り難う御座います!

2012/07/26


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