レプリカ編

□Episode70
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「あ……っ。」

ベルケンドに到着するやいなや、紫音達の目の前で一人の男性が突然倒れた。
驚いた紫音達の中で、ティアが咄嗟に彼に駆け寄って治癒術を掛ける。

……しかし。

「しっかりして!
……えっ!?間に合わなかった……!どうして……。」

治癒術は間に合わず、男性はそのまま息を引き取ってしまったのだ。
前触れ無く急死した男性を見て、誰もが困惑の色を見せる。

「……これで今日は3人目だ。」
「どう言う事ですの?」

騒ぎに気付いてか、街の奥から駆け寄ってきたキムラスカ兵が、男性を見てため息を吐いた。
いわく、ここ数日彼の様に突然亡くなる人が増えているのだと。
ローレライ教団へ預言を聞きに行った直後に倒れる人が多い様で、治癒術師でも治せないのだとも。

「……変だよ。今教団では、預言の詠み上げを中止してるんだよ。
イオン様がそう決めたはずなのに……。」
「いや、この瘴気ってのが出てくるちょっと前から再開したみたいだぜ。
旅の預言士が各地を回っててね。俺も詠んでもらったんだ。」

イオンが決めて以来、世界中で預言の詠み上げは中止されている。
つまり、教団に所属している預言士は預言を詠み上げるはずが無い。
そして、その詠み上げをしていた者は今、彼らに与していないはずだ。

「いったい誰が……。」
「失礼ですが、その預言師はどちらへ向かったかご存じですか?」

ティアの問い掛けに、彼はバチカルへ向かったと教えてくれると、亡くなった男性を担いで街の奥へと行ってしまった。
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