エジプト編

□Episode58
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【DIO's side】



奴等が……、ジョースター一行は、確実にこの館へと近付いてきている。
ダービー兄弟の兄を送り込んではみたものの、結果はまだ分からない。

「……次の手を打っておこうか……。」

読み掛けの本をそっと閉じた私は、扉の向こうに控えている腹心を呼んだ。

「……ヴァニラ・アイス。」
「はい、ここに。」
「……冬泉春茉を連れて来て欲しい。
だが、スタンドを使うと警戒される。
一人になった所を、紳士的に館までご案内して差し上げるのだ。」
「……紳士的に……。」

どの様に、と思案する腹心に、私は執事にでも聞いてみろ、と口の端を吊り上げて見せた。
この私を盲信する男だ。
素直に執事に教えを乞うだろう。

「私は、奴等の希望を絶望に変えてやりたいのだ。
……やってくれるな?ヴァニラ・アイス。」
「仰せのままに。」

そう深く一礼した男は、そのまま静かに部屋を出て行った。

捕らえられた希望はどうしてやろうか。

肉の芽を埋め込むか。
肉の芽を使わず洗脳してしまうか。
それとも……、この私と同類にしてやろうか。

愉悦のせいか、知らずに顔が綻びる。

鳥籠の用意は、既に出来ていた……。
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