片翼の影

□十四ツ影
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「……はぁ、は……、ここまで来れば、もう問題ナッスィン……。」
「……死にそうになりながら言われても……。」

闘技場で弥槻を拐ったイエガーが、洞窟に入ると走る速度を緩めた。
肩で息をしながら問題無いと言う彼に、弥槻は困惑の色を浮かべる。
しかし、弥槻の言葉を聞いたイエガーは眉を軽く上げて、自嘲気味に笑うのだ。

「……ハッ。ノンノン……。
ミーはもう……、デッド、してますからネ……。
ユーの無事だけが、今のミーの最優先事項デース。」
「……そんな……、」

会ったばかりのシュヴァーンさんみたいな事を……。

そう言い掛けた弥槻は、息をする様にそう言ったイエガーの心内を思い、喉元まで出てきた言葉を飲み込んだ。




喉笛の洞窟
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