片翼の影

□十ツ影
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「……何だか、霧が出てきたよ……。」
「随分見通しが悪いですね……。大丈夫でしょうか?」

カプワトリムを出港してから数日。
魚人の襲来は一度きりで、それ以来静かな航海が続いていた。
しかしここに来て、天候の悪化か霧が発生し、全く先が見えない状況に陥ってしまった。

「こういう霧ってのは、だいたい嫌ーな事が起きる前触れって言うしねぇ。」
「…………あ、あ、あんたが変なこと言うから、な、ななな何か出てきたじゃ無いのよーーーっ!!!」

レイヴンの何の気無しの呟きに呼応するかのように、すぐ目の前に黒い影が現れたのだ。



さ迷う幽霊船
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