風の螺旋階段

□Episode05
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「…………、ルミエール。」

自分を揺り起こそうとする声に、ルミエールはゆっくりと意識を浮上させた。
重い瞼をやっとの思いで開けば、そこには心配そうに眉尻を下げたスレイと、周囲を抜かりなく警戒するロゼがいた。
しかし、ロゼは普段の服では無い。
マーリンドで、デゼルと共に現れた人物と同じ服をまとったロゼの様子に、ルミエールが首をかしげていると、彼女はルミエールに声を掛ける。

「話は後。
……ルミエール、動ける?」
「うん、問題無いよ。」

気を失う前の倦怠感が嘘の様だ。
まだ完全とは行かないが、ずいぶん動けるようになった身体を起こすと、ルミエールはこれからどうするのかとスレイに問う。
追われているらしいスレイは、ロゼがアジトにしている遺跡に追っ手を誘い込むつもりの様で、このままそのアジトへ向かうと。

「さっきみたいに、あたしを背負ってて。
その方が、向こうの油断も誘えるから。」
「分かった。」

ロゼの指示に頷いたスレイが、彼女を背負って歩き出す。
追っ手を警戒するルミエールが振り返ると、茂みの向こうに小さな人影が見えた。



ヴァーグラン森林
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