常闇の光

□芽吹く
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「シュヴァ…、ダムロンさん。」
「言い慣れないなら、シュヴァーンで構わない。
と、言うよりダミュロンってのくすぐったいから止めて。」
「じゃあシュヴァーンさん!」

己の本名を明かしてから、弥槻は極力『ダミュロン』と呼ぼうとしてくれていた。
だが、言いにくいのかそれとも呼び慣れないのか、頻繁に名前を噛んでしまう。
最初は噛む度にからかっていたのだが、何度も繰り返されれば、さすがに呼び方を戻した方がシュヴァーンも落ち着くものだ。

「あとはお米を買うだけです!」
「はいはい、分かったから袋を渡しなさい。」
「このくらい持てます!
………あっ。」

「……どうした?」

突然立ち止まった弥槻を不審に思い、彼女の視線を追うと、一片の花びらが舞っていた。

「もうすぐ桜が咲く時期かぁ…。」



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