Sacred music・・・and dunce?
□第七話
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「そう。俺が君を意図も簡単に逃したのは、シズちゃんと戦って欲しかったから。君のお手並み拝見と、運が良ければシズちゃんを殺せたかもしれないしねぇ…」
何処までも爽やかな笑み。
…それでいて、反吐が出るような白々しい笑み。
…折原臨也は、確かに其処に存在していた。
続いて臨也の口から流暢に紡ぎ出される詞。
「でも、まさかシズちゃんそっくりの輩が現れるなんてね…思ってもみなかったよ。」
ホンット、こんなのが二人も居るなんて反吐が出る…
そう言って溜め息を吐く臨也。
臨也以外の三人は、皆各々思い思いの表示を浮かべていた。
呆然と状況を受け入れぬ二人とは裏腹に、地に伏せた儘涙目で臨也を見上げる櫂莉。
全て、静雄に襲い掛かる前に戻っていた。
髪の毛はクリーム色、ポニーテールだった筈なのに、それも何時の間にか外れている。
櫂莉は口を開いた。
弱々しく、でも、それでいて総てを悟ったように。
自虐的な笑みを浮かべた侭。
「臨也。貴方は、日々也の記憶を、憶えているんですね?」
臨也はそんな櫂莉を見ても尚、表情を変える事無く答える。
「…そうだね。俺は、憶えてるのかな?…君と津軽を利用して、自分を護って逃げた事。」
「…え?」
嘘だ。
逃げた?…利用?
「君達を前線に立たせて、王であった俺は逃げたじゃないか。どうせ、怨みでも晴らしにやって来たんだろう?…架空の身体を借りて、俺を殺しに…さ?」
前線…戦?
「「…え?」」
津軽と櫂莉の声が綺麗にシンクロする。
違う。
私達が過ごして来た次元と、違う。
日々也はそんな事していない。
日々也は、そんなことしていない…ッ!!
「違う…違うよ…日々也はそんなこと、絶対しない…」
そう否定したかった。
でも、否定出来無かった。
それは、臨也が何処までも日々也に似ていたから。
まるで、日々也本人のようだったから。
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