Sacred music・・・and dunce?

□第四話
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「波江さん、聞いてた?」
「ええ。つまり、あんたにそっくりの親戚か何かが好きで、恋してたのに急に逢えなくなってしまったって事かしら?」
「違うよ。」
臨也は無邪気な笑みを浮かべ、ゆっくり波江の方を向いた。
「多分、俺の先祖だね。尤も、昔は日本じゃなくてフランスとかスコットランドとかに住んでたみたいだよ?…其処が桃源かどうかは解らないけど。」
そう…デュラハンと同じだったかもね?
臨也はそう続けた。
すると、波江は小首を傾げながらソファーに腰掛ける。
「でも、なんであんたの名前なんて解るの?大体あの一撃は間違いなく彼女の指先から発せられた筈だし…彼女は人間なの?」
「人間さ。限り無く人間で、限り無く人間じゃない。クローン人間。俺の先祖と人間の頃暮らしてた、殺戮兵器。つまり、人間に人工的知能を植え付けたロボットって所だろうね?死んでも作り替えられるだけ。だって、その身体と能力は常識を逸するから。そういうこと。」
臨也は櫂莉に歩み寄ると、顔のハンカチを取った。
とても端正な顔立ち。
臨也は櫂莉に微笑み掛けると、こう言った。
「起きてるんだろ?」
その通り。
櫂莉に薬は効かないのだ。
クローンだから…。

「流石は臨也さん…良く解りましたね。」
櫂莉は立ち上がり、頭を下げた。
「私は、どうすればいいですか?何でも良いので…何か…御礼を…」
「じゃあ、ちょっと来て?」
臨也は私を呼んだ。
私は臨也の所に歩み寄る。
「ハイ、これ着て?」
臨也は私に自分が来ていたファーコートを着せると、私を抱き寄せた。
「へっ…え…あの…」
凡そ13秒。
長かった。
「さ、何処へでも行って良いよ?」
臨也はそう言って私を離すと、波江の横に腰掛ける。
「止めて近寄らないでロリコン「あー波江さん?なんか勘違いしてるよね?」」
波江はソファーを立つと、反対側の椅子に座った。
「さ、櫂莉。後は好きにして良いよ?」
波江さんの也はそう言って笑うと、此方に手を振った。

迷いなく。
私は駆けた。

…携帯のバイブレーションに気付かない壗に。
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