☆絆
□感謝とお守り
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清水のキラキラした瞳に負けて、一同は体育館に向かうために階段を上り始める。
俺も普通に階段を上ろうとした。その時、制服の袖が引っ張られた。
「うおっ!?」
いや、階段を上ろうとしてる中途半端な体勢のときに急に引っ張られたりしたら落ちちゃうからね??
ったく誰だよーとか思いながら後ろを見る。
「清水??
え、何、どした??」
「あ…あのさ…伊田…
さ、さっきのことなんだけど…」
俺から見えるのは清水の前頭部のみ。
何故なら元々俺の方が背が高いのに、階段の一段上から清水を見てるっていうのと清水がものすごく俯いているから。
「さっき??って…あぁ…あれか」
ワープの鏡が光った後、私、清水咲希は3階と4階の間の踊り場にいた。
親切さんがいた中央階段ではなく、東階段の踊り場。
「なんで、みんないないの…??」
みんなといた時、夢月といた時は全然平気――ではなかったけど平気なふりはしていられたのに。
1人になった途端、恐怖が込み上げてくる。
「だ…だれか…!!」
泣きそうになるのを押さえて大きな声で呼んでみる。
―だれか、いないの!?―
でもその声は弱々しく、静かな学校の廊下にも響かない。
後半は声にすらならなかった。
…とりあえず、声が出ないならここにいても駄目だ。
自分からみんなを探しに行かないと…!!
ふらふらする足を無理矢理立たせて、階段を下りようとてすりに手を伸ばす。
すると、手首が掴まれた。
青白く光る、小さな手に。