☆絆

□謎の鏡と親切さん
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そこに映っていたのは、さっきの血塗れの女と同じ漆黒の制服に身を包んだ1人の少女。

「ひっ…うわっ!!」

叫んであとずさる俺たち。
しかしなぜか、逃げようとした俺の腕を崎坂が掴んだ。

一瞬、またおかしくなったのかと思ったが、掴まれている腕に強い力は感じない。

これは、崎坂の意志だ。

「崎…坂…??」

「大丈夫…この子はまだ…大丈夫だから。」

鏡の方を真剣な眼差しで見ながら崎坂は言った。

『まだ』というところは気になったが、とりあえず一歩前にでる。

「やっぱり、あなたは逃げないのね。」

かわいらしい声で鏡の中の少女は崎坂に話しかける。

「や…やっぱりって…何??」

涼太が恐る恐る聞く。

鏡の中の少女は軽く涼太の方を見て、

「言えないの。ごめんなさい」

とうなだれる。

確かにさっきの女とはちがう雰囲気だ。

「あなたは…誰??」

清水が無理矢理絞りだしたような声で言う。

「それも言えないの??」

「言えない訳じゃない。
でも私には名前がない。
言いたくても言えない。
…そうね、鏡の中の…『親切さん』とでも呼んで。
あなたの携帯にもそう書いてあるはずだから。」

親切さんは、清水から崎坂に視線を動かしながら答えた。

「え…あっ!!」

携帯を開いてさっきのメールを開く崎坂。

隣からそれを覗きこむと真っ暗な画面と赤い文字、そして、『七不思議1――』と書かれたメール。

さっきと変わらないように見えるけど…

「下…」

そう言いながら崎坂の右手の親指は矢印キーの下を2、3回押していく。
すると、崎坂の指が動くたびに新しい文字が行ごとに浮かび上がる。



2、3階男子トイレのワープの鏡3、鏡の中の親切さん
4、中庭の魔方陣
5、突然動きだす体育館の怪物
6、プールから出てくる手
7、どこかに現れる冷凍室



「――何…これ??さっき、こんなの無かったのに…」

「それにも書いてあるように、これは『七不思議』
七不思議が在る限り、貴方たちは帰れない。」

「…!!」

みんな黙ってしまう。
たった10秒くらいの沈黙。
それが、とてつもなく重い。

「あなたも…七不思議なのでしょう??2階にいた人と同じように…」

崎坂がゆっくりと口を開く。

「2階にいた人??」

「あぁ、2階にいる…七不思議1番のやつだよ。
お前と同じ制服を着てた。」

親切さんはその言葉を聞いて、わずかに目を見開いた。
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