☆絆

□夜の学校
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目を開けたとき、そこは闇だった。

「んっ…」

一番最初に目を覚ましたのは私だった。

真っ暗で寒い。ここは…学校の廊下…??

記憶を辿っても倉庫から中野くんが出てきた後が思い出せない。

「…っっ!!」

頭が痛い。耳鳴りがする。無理に記憶を呼び起こそうとすると、頭の中の神経が切れるような痛みが走る。

なんで私は廊下にいるの??

どうして倒れていたの??

あの後何が起こったの??

わからない、わからない、わからない。

暗闇に目が慣れてくると周りに何があるか、少しずつ見えるようになる。

人が倒れている。

原田くん、
佐藤くん、
伊田くん、
蕉、
中野くん、
陽子、
森岡くん、
咲希…。

咲希!!

「咲希!!咲希っっ!!起きて、ねぇ!!」

「ん…」

寝呆けたような目でこっちを見る咲希。

「ここ…学校…??私…」

さっきのことを思い出しているのかしばらく黙った後、

「ゆ…夢月!!大丈夫なの!?」

と私の肩を掴む。

「え、何が??大丈夫だけど…」

「っ…夢月…」

咲希の目に涙が滲む。

「良かった…良かったよ…」

そう言って咲希は私を抱き締める。

「え…咲希…??私…何があったの??
どうしてみんな倒れて…廊下にいるの??
中野くんが倉庫から出てきた後、何が起こったの??」

「廊下にいる理由は私にもわからないよ。夢月はさっき…」

そこまで言ってちょっと考えたあと、咲希は

「その話は後だよ。みんなを起こさなきゃ!!」

と言う。

「うん、そうだね。蕉、原田くん!!」

「佐藤、伊田!!」

何かあったのは明らかだった。だけど急に怖くなって私は咲希の言葉に従った。
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