☆絆
□血塗れの保健室
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保健室は1階にあり、2階を経由しなくてはならない。
あんなことがあったし、正直あそこを通るのは少し不安だった。
「あ…れ…??」
さっさと通ってしまおうと早歩きをしたところで崎坂が声を出す。
「あそこにいるの…」
指差す方には
「森岡!!」
森岡がうつ伏せに倒れていた。
駆け寄り、転がして仰向けにする。
「うわっ!!」
森岡の体は冷たく、目をあけたまま動かなかった。
体に傷は見当たらない。
2階の廊下に倒れている時点で嫌な予感はしていた。
森岡は、親切さんの鏡の前で待ち合わせしていた時からいなかったのだから。
「優美…ちゃん…」
涙声で崎坂が呟く。
「あ…れ??
何か持ってない??」
清水が森岡の固く握られている右手を指差した。
拓也が森岡の手から取り出したのは、真っ白な紙。
「何も書いてないね」
拓也から紙を受け取り、清水は言うが
「一応もっとこ…」
とスカートのポケットに入れた。
「…保健室、行こう」
蕉が立ち上がり言う。
俺達は、重い足取りで歩きだす。