☆絆

□消えた日常
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森岡 慎太郎は同じクラスで席が俺の前だ。

意地っ張りだしすぐ怒るしぽっちゃりした体型のせいもあり、あまりみんなに好かれていない奴。

秋道 陽子に関しては仲が良いわけじゃないからよく知らないけどクラスの女子がこいつのことを話しているときは大抵悪口だ。

よく聞くのは「男好き」っていう噂。廊下で見かけたときにも基本男子と話していて女子といるところは滅多に見ない。

家はすごいお金持ちらしくて、茶髪なのだか清水のような生まれつきではなく、染めているらしい。

色も金髪に近い。その腰まである髪をくるくるに巻いていて、黒いカチューシャをしている。

髪を巻いているのは家のお手伝いさんだとか…??

「何か…珍しい組み合わせ…だねぇ」

涼太が口に手を当てて言う(女子か、お前は)

「何してんのー??」

ニヤニヤしながら尋ねる蕉。

「お前らそういう仲だったんだー」

拓也も蕉と盛り上がり始める。

森岡と秋道はしばらく2人で顔を見合わせてから

「別に…」

「何ー??北島だって人のこと言えない気がするんだけどな、いつも。伊田は嫉妬??」

と照れたようにそっぽを向く森岡と、慣れているのか妖艶な笑みで答える秋道。…噂は本当かもしれないな。

「へぇ…」

なんて言っていいのかわからなくてとりあえずそう返す。

後ろで「なんで蕉は人のこと言えないの??」と素で聞く崎坂と「ちょ…黙ってろ!!」と慌てて叫ぶ蕉、そして笑いを堪えている感じの清水の声が聞こえる。

とりあえず会ってしまったものはしょうがない。
途中まで一緒に帰ることになった。

「じゃあ行くか」

そう言って歩こうと足を前に出したその時、


ガタンっ


校門に行く途中にあるサッカー部の倉庫から音がした。

「…??」

みんな一斉にそっちを見る。

「誰か…いるのかな??」

清水が静かに言う。

「電気は消えてるし…サッカー部だよ??」

涼太も怯えたように言う。

サッカー部は剣道部とちがって、着替えや片付けが早く終わるし、万が一練習が長引いたとしても、俺らはちょこちょこ立ち止まったりしたからこんな時間まで残っていることは、まず無い。

沈黙が訪れる。

みんな、静かに倉庫の方を見つめる。

まだ少し暑いが今は秋。

日が短くなってきて、今はもう薄暗い。
今まではこの時間でも明るかったから余計に暗い感じがする。

なんか、ちょっと気味悪いな…

そう思った瞬間、いきなり倉庫の扉が開いた。
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