☆絆

□消えた日常
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放課後

剣道部は防具を着替えるのに結構時間がかかるから、いつも他の部より帰りが遅くなる。

しかも着替えるのが遅いと鍵当番も任されてしまう。

それを回避するために俺と蕉はいつもみんなより早く着替える。

剣道部を出てすぐの廊下にはいつも通り崎坂と清水がいた。

「本当剣道部って終わるの遅いなぁ…疲れたよぉ…」

崎坂が苦笑いで言う。

「終わるのはバスケ部と同じ時間だよ。剣道部は着替えるのが大変なんだよなー」

「じゃあ早く着替えてよっ!!」

「なっ…これでもなるべく早く着替えてるんだぞ!?」

「もっと早く着替えて!!」

「…わかったよ、ごめんって」

蕉が謝って一瞬の間があり、2人でクスクスと笑いだす。

俺と清水はともかく、蕉と崎坂はいつも一緒に登下校する間柄で、崎坂と一緒に帰る清水と蕉と一緒に帰る俺の4人で玄関まで行く。

剣道部とバスケ部の活動日が全く一緒だから部活の日は大抵駅まで一緒だ。

話しながら玄関まで来ると俺と同じクラスの親友、佐藤 涼太と伊田 拓也が待っているのもいつものこと。

「おー拓也、涼太!!」

「遅ぇーよ、悠翔、蕉!!と崎坂と清水」

「やほー☆伊田くん」

ノリがいい崎坂は片手をひょいと上げ、笑顔で言う。

「君らも暇だねー部活やってないのにいつもいつも」

清水も慣れているから靴を履きかえながら言う。

「ひでぇなー暇な訳じゃねぇよ」

「いつも何時間も待ってるのに??」

そういって軽く戯れながら立ち話をする。
これが部活の後の習慣みたいになっている。

10分くらいたった頃。

「あの…そろそろ帰らないと…」

涼太が困ったように言う。

涼太は目が大きくて背が低くて女子みたいだ。

普通に話そうと思って涼太を見たときに上目遣いで見られると女子と間違えたのかと思ってビビる。

でも女子と話すのは苦手らしい。

「そっか…そろそろ帰るか??」

「うん…」

拓也に向かって頷く涼太。

拓也は…親友の俺でもよくわからない。

1人で居たと思ったらいきなり話に入ってきたり、ノリは良いしおもしろい奴だけど、なんかミステリアスな奴だ。

拓也と涼太が先に立って並んで歩き、その後ろを俺と蕉が続く。

後ろから並んで歩く拓也と涼太を見てると、まるで男子と女子みたいだ。

校門まで来ると、2人の男女が話していた。

「あれ、陽子と…森岡君!?」

女子2人が驚いて声をあげる。
確かに珍しい組み合わせだ。
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