文三木、文仙、綾三木

□三木の乱
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「忘れものがあったから戻ってみたが、危ない所だったな」

「す、すみませんでした!ありがとうございました」

「いや、お前が謝ることじゃない。
 そうかお前も4年生だもんなぁ…」

「え?」

「昔から忍術学園では魔の4年っていうんだよ」

「何ですかそれ?」

「ちょっとかわいい顔した奴が上級生に狙われるんだ。3年までは大丈夫なんだが、4年になると解禁とかなんとか言って…」

「…聞いたことありませんでした」

「そりゃあ、表立っては言わないからな。俺達の代も大変だったんだぜ」

「そうだったんですか?」

「俺達の代は仙蔵と伊作が狙われて…」

「立花先輩と善法寺先輩?まぁ、…わかる気がします」

「仙蔵は振りかかる火の粉は自分で払いのけたが、伊作にちょっかい出す奴は全員俺と食満が始末した」

「へー」

「まぁ、まず服を直せ。今日は遅くなって悪かったな。送ってやるよ」

「はっ、あ、す、すみません」

「バカたれ。だから謝らなくていいって」

「すみません」

 委員会が遅くなった責任を感じたのか、その晩は部屋まで送ってくれた。帰り際に、潮江先輩が言った。

「お前も俺の名前使っていいぜ。俺は怖がられてるから、結構効き目あるぞ」

「は?」

「あれだけ助けてやっても伊作から礼の一つも言われたことないからな。お前も俺の名前使って適当にかわしとけよ。
じゃあ、おやすみ」

 潮江先輩は帰ってしまった。

 名前使っていいってどういうことだ?

 それって潮江先輩と付き合ってるって振りをするってこと?

 そんな事実もないのに?

 頭が混乱してきた。


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