雑伊、仙伊、etc

□竹取物語
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所かわって山奥の湯治場

湯煙の中、温泉につかる雑渡昆奈門。
タソガレドキ忍者の一人が雑渡昆奈門に対して不平を述べていた。

「お頭、捕虜を犯すな、閉じこめるな、逃がすなと言われましても、
(はじめの一つはともかく…後が怖いから)
 そんなの無理です!」

「だから捕虜じゃないってば!」
傷の様子をチェックするために伊作が現れた。

「僕は傷の手当をするために此処にいるんです!
傷が治ったら帰ります!」

「お背中を流しましょう」
傷の具合を見ながら伊作が言う。

「うん、大分良くなりましたね。
やはり2週間ですね。満月の頃には治るでしょう」

「そうしたら君は帰るというのかね」
「はい」
涼しい声でにっこりと言う。

「まるで、かぐや姫のようだね」

伊作は替えの包帯を置いて立ち去った。


山奥の湯治場の周りは風が枝を揺らした木々がざわめくだけ。

「潮江君、食満君出ておいで。いるんだろう?」

木の陰から人影が二つ飛び出した。

「見張りをするときは、そんなにあからさまな殺気は隠しておくものだ。丸わかりだったぞ」

「…」

「聞こえた通りだ。彼は自由意思で此処にいる。潮江君のおかげかな」

文次郎が苦虫を噛み潰したような顔になる。
「変な気おこすとただじゃ置かんぞ」

「かぐや姫は満月の夜に帰るそうだ。
それまでは邪魔しないで貰おう。
ただ、彼が自由意思で帰らないと言えば別だがね」

「汚い手使うんじゃねぇぞ」

二つの影は闇に消えた。



「…くそ〜」
と、文次郎

「あの人は伊作が嫌がれば、無理なことはしないと思うけど」
と、留三郎

「そう言い切れるのかよ!」

「…多分…」

「根拠ねぇな」
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