文三木、文仙、綾三木

□四条通り、東上ガル
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 6年い組コンビは情報収集の忍務で京都に来た。敵の警戒心を解くため、仙蔵は女装で、文次郎は付き人として男装のまま、 男女連れの格好で鴨川沿いを歩いていた。
 いつもの歩調でスタスタと歩く文次郎に仙蔵が不平を述べる。

「文次郎、歩みが早過ぎる。もっと女人連れらしい速さにせんか。
 だからお前は女扱いに慣れてないというのだ」

 文次郎にも言い分があった。女装の仙蔵と歩いていると、あちらこちらから男の不埒な視線を感じる。早く今夜の宿に入って、これらの視線から仙蔵を守りたかった。

「うるせぇ。
 女装のお前と歩くと変な眼が多くてうざいんだよ」

「これか?いつものことだ。気にするな。
 …まぁ、文次郎の女装じゃあこうはならんな」

 仙蔵は微笑を浮かべて艶めく黒髪をかきあげた。

「置いて行くぞ!」

 文次郎はムスッとして背を向けて歩きはじめた。

 情報収集の拠点となる宿屋に入る。
 身につけていた刀を下ろしてひと息ついた文次郎だったが、仙蔵に背後を取られ、部屋の柱に後ろから手首を拘束された。

「何しやがる!」

「女人が訳の分からぬ男と同じ部屋にいるというのは危険だからな」

「何言ってんだ!同室のくせに!
 いつもと何も変わんないじゃねぇか!」

「変わらない?」

 仙蔵は妖しく微笑んだ。

「不埒な事を考えていないとでも?」

 仙蔵が足で文次郎の股間を探ると、芯を持ったそれに触れ、そのまま、軽く踏みつけた。

「痛ってぇ!」

「ほら、危なくてしょうがないだろう?
 しばらくそうしてろ」

 おし黙った文次郎をよそに、仙蔵は旅装を解き、くつろいだ。
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