文三木、文仙、綾三木
□グッドモーニングズ〜文仙
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いつもの朝
静謐な朝の光が6年長屋に指し込む。
「起きろ。朝だぞ」
仙蔵はすでに目を覚まし、身支度を整えて、その長い髪を綺麗に結い上げている。
一方、毎晩の鍛練で夕べも寝るのが遅かった同室者から返事はない。
「早く起きぬと窒息するぞ」
仙蔵は文次郎の鼻と口を手で塞ぐ。
「〜〜〜〜〜っ、やめろよっ!!」
酸素不足で顔を真っ赤にした文次郎が怒りながら起きてきた。
「お前、もうちょっとやさしく起こせねぇのかよ!色気もクソもねぇな!」
「はは、起きれて良かったではないか。
いくら鍛練しても、朝起きれないなら意味がないな」
仙蔵はさっさと先に部屋を出て行った。
−翌朝、やはり先に起きたのは仙蔵だった。
「〜〜〜〜〜〜〜っっ」
仙蔵は指先で文次郎の鼻を塞ぎ、口は口で塞いだ。
ふたたび酸素不足になった文次郎は顔を真っ赤にして起きてくる。
「どうだ?少しは色気があったか?」
文次郎は寝乱れた髪を掻きながら、布団の上に身を起こす。
「……ああ。 …なぁ、仙蔵、続き…」
「調子に乗るな」
ぴしゃりといい放つが、代わりに、寝ぼけた顔を拭くための絞った冷たいタオルを指しだす。
「ああ、すまん」
静かな光がいつもの部屋を包んでいた。