雑伊、仙伊、etc
□fatal,,,運命の…
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タソガレドキ軍忍組頭ー
などと言っても訳はない。
どうすれば人が従うのか、
どうすれば勝つのか、
なんてことは自明のこと。
戦続きとはいえ、私にとってはかわりばえのない日常が過ぎていく。
そんな時だった。
部下達が怪しい僧侶を地下牢に捉らえたと報告してきたのは。
「誰かと思えば、伊作君じゃないか」
「…雑渡さん…」
「部下が失礼なことしてないかな?」
「いえ、大丈夫です。ただ手が、少しきついかな…」
「…なるほど、縄抜けしにくそうな手首だね」
うら若い僧への警戒を現すかのように、伊作は後ろ手で厳重に縛られていた。
「こしころぐらい持ってるだろうに…」
「タソガレドキの皆さんも隠し武器も確かめずに牢に放り込むなんてヘマなさいませんから…」
「それはそうだ。そんなことしたらうちではやっていけないよ」
「雑渡さんにご迷惑をかけて申し訳ないのですが、実習の帰り道ですので、そろそろ開放していただけませんか?」
「それはだめだよ。
こちらも戦の最中だ。不審人物を捉らえたのに簡単に開放するようでは、衛兵の志気にかかわる」
冷たい牢の床に拡がった柔らかな伊作の髪を撫でながら、雑渡は目を細めた。
「それに、私の手中に足を踏み入れておいて、このまま帰れるとは思ってないだろう?」
「…狡いんですね」
「忍びに狡いも何もないよ」
形の良い伊作の頬から首筋、鎖骨を雑渡の指が滑るようになぞった。
伊作はこれからはじまることを予測し、ぐっと目を閉じた。
牢の窓から差し込むわずかな月の光と松明が、重なり合う二人を照らしていた。
もう何日が過ぎただろう。
伊作はタソガレドキ軍の地下牢に捉らえられ、捕われ人としての日々を過ごしてきた。
食事や水、そして衣類も与えられ、捕われ人としては悪くない待遇だった。
ただ、拷問の代わりに与えられるのは、容赦ない雑渡の夜の交じわりだった。
「…はぁっ…もう、許して下さい…雑渡さん…」
「だめだよ。…まだ若いのにこんないやらしい身体をして、よくも僧侶なんかに化けようとしたものだ…」
「…そんな…ひどい…」
「まだまだお仕置きが必要だね」
意識を手放すまで責められ、気が付くといつの間にか牢の窓から、朝とも昼ともわからない光が差し込んでいたことも何度もあった。そのせいもあり、捕われてから何日過ぎたかも分からなくなってしまった。
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