雑伊、仙伊、etc
□姫達の憂鬱
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忍術学園と親しい、さる城の侍女達から、不平不満の言葉が零れていた。なんでも、新しく遣わされた護衛はとびきりのいい男揃いだが、自分達の誘いを全く無視する、美貌も地位も兼ね備えた自分達を袖にするとはけしからぬという不満だ。
目の下の隈が男の色気を感じさせる若者は言った。
「忍務中にそんな暇はない。くだらん」
取り付く暇も全くなかった。
アッシュグレイの髪のしなやかな若者は言う。
「あ、無理です。恋人がいますから」
そしてその後、恋人がどんなに可愛いかとか、ちょっと不運だけど、そこがまたいじらしいこととかをうんざりするまで聞かされてしまった。
(私達に恥をかかせて…!)
怒った侍女達は、仕えている姫に訴えようと居室に向かった。
「これこれお前達、姫は今ご気分がすぐれぬ。下がっておれ」
家老から窘められ、侍女達はしぶしぶと引き下がった。
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