Laboratory (another)

□【SPN】John talked his older sun ,Dean
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メアリーが殺され、私はハンターとしての生き方を選んだ。復讐とサムを救うためだ。そのことに後悔はない。
だが、ディーンを巻き込んだことには…罪悪感がある。彼を養子に出し、普通の人生を歩ませることだってできたのだから。
後悔したことも何度もあったよ。


でも、私は結局、ディーンを手放せなかった。
息子に宿る妻の面影が時に私の心を奮い立たせ、時に安らぎを与えてくれたからだ。
サムは私に似たが、ディーンはメアリーを受け継いでいた。
彼女の美しい緑色の瞳や容姿、少し勝ち気だが愛情深く優しい性格も。

私がボロボロになって帰ってくると、まだ幼かった彼が、私の肩を支えて「大丈夫だよ」と言うんだ。
そんなことを言わせて本当にすまないと思ったよ。
彼はまだ大人に守られているべき年頃から、父親と弟を守ろうと必死になっていたんだ。
父を守り、弟を守るためには早く大人になるしかなかった。
ディーンは軽口を叩くし、ナンパもする。とにかくお調子者でいい加減に見えるだろう?
だが、それは本質ではないんだ。彼は普通の子供が望める多くのこと、例えば野球やテレビゲームを我慢しなければならなかった。

不満を抱えていたに違いないが、決して口にはしなかった。
ディーンの態度は抑圧された精神のバランスをとる手段だったんだろう。
我慢強い子だよ、驚く程にね。


私は彼を褒めたことはほとんどないが、ずっと感じていたことがある。

それは、ディーンのハンターとしての才能だ。
環境のせいではない。
あの感の良さ、瞬間的な判断力、大胆だが計算された動き…。常に冷静さを保ち、迷いや躊躇いがない。
私が長くこの仕事をしても身につかないことを、彼は普通にやってのける。
天性の才能なんだろう。
皮肉なことだがね。

サムが家を出たいと言った時、ディーンは酷くショックを受けていた。
怒りまくるかと思ったが、ただ青ざめた顔で何も言わず、自分の気持ちを抑えていた。
弟の望みを叶えることを優先させたんだ。
私とサムの間の溝を何とか埋めようとしてきた努力は報われなかった。
彼の望みはいつも叶わない。
私のせいだ。

だから、ディーンが助からないとわかった時、今更になって彼のためにしてやれることを必死に考えた。
結果、彼を苦しませてしまったが。

私は愚かな父親だが、息子を愛していたんだよ。
(終)

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