BOOK

□midnight police
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今日はとことんツイてない。

朝家を出ようとしたら靴のヒモが切れて転ぶし財布は落とすし、会社に行けばせっかく苦労して仕上げた書類にコーヒー溢してまた一からやり直しでこうして帰宅が遅くなったし。

そしてこの車なんか殆ど通らない遅い時間だというのに明らかにおれの運転する車をサイレンを鳴らしながら追ってくる白バイ。

そういえば朝のニュースでやっている占いコーナーで天秤座は最下位だったななんてどうでもいい事を考えながら警察官に促されるまま車を路肩に止せた。



「20キロオーバーだ。免許証出せ」


「…」



バイクから降りてきた男はとても警官には見えないような風貌のヤツだった。

なんだよこいつ。


警官のクセにそんな赤い髪っていいのかよ。
しかも眉毛無いし。

警官っつーよりヤクザだろ。

それに何で命令形なんだよ。
警官様はそんなに偉いのか



「早くしろ」



おれに命令すんな。


そういってやりたいが違反をしたのは確かだしとにかく早く帰りたいので大人しく免許証を出す事にした。



「あ」



そういえば財布落としたんだった。



「無ェ」


「あ?」



うわっ、恐ぇ顔。



「今日財布落として、免許証その中だ」


「だったらスピード違反に免許不携帯も追加だ」


「はぁ!?」


冗談じゃねぇよ。

財布落としたうえに給料日前なんだよ。
罰金上乗せされてたまるか。


「わざと落としたんじゃねぇんだし不可抗力だろ!!」


「そんなの言い訳になんねぇよ。落としたってわかってんなら別の方法で帰りゃいい話だ」


「…っ」



尤もな事いいやがる。
そりゃあそうだ。

悔しいが反論出来ねぇ。かなりの痛手だが認めざるを得ない。



「クソ、払えばいいんだろ払えば」


「クク、最初からそういえばいいんだよ。トラファルガー・ロー」


「……?」



何でおれの名前を知っている?
名乗った覚えはない。



「あんた、なんでおれのこ…って、ちょっ…何すん、うわっ!?」



いきなり勝手に運転席のドアを開けたと思ったら覆い被さられてシートを倒された。



「良いことを思いついた」

「は…?」


なんだよ、いいことって。


「罰金、勘弁してやってもいい。その代わり…」



ニヤリと笑い舌なめずりをする男。

これは自慢じゃないがおれはけっこうモテる

女だけじゃなく同じ男からもそれなりに。

だからといっちゃ変だが男のいう罰金免除の代償が何なのかに気付き血の気が引くのがわかった。


「察しがいいな」


「ちょっ…待っ…!!」



慌てて男を押し返そうとしたが時、既に遅し。

あっという間に体を押さえつけられ制止の声を上げる前に唇を塞がれた













白バイなキッド!!


続きます!

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