記憶の渦

□14 全てを
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テルア「……困りましたね…」



船を降りたテルア。
しかしこの先どうしよう。船を見つけなければならない。
記録指針も手に入れなければならない。

…何にしても、とりあえずこの島を出なければ。
白ひげ海賊団の人たちに…見つかる前に……。


トボトボと表通りは見つかる確率が高そうなので裏通りの入り組んだ路地を徘徊する。
日が当たってないので少々薄暗いが、テルアは気にすることなく歩き続ける。



テルア「………」



船を降りてからどうもスッキリしない。
…いやそれはそうだ。書き置きを書いたとは言え勝手に船を降りたのだから。

スッキリしないのはその所為……、



テルア「……違う…」



勝手に出て行った云々ではない。
船を降りた時より胸が苦しい…。

ポッカリ穴が空いたような、生唾が上手く飲み込めない。
何かを忘れている気がする。
分からない…でも、思い出さなければならないような気がする。



………

……



…これ以上、

何を…思い出す……?


もう充分自分は思い出したのに、
これ以上…何を……?



テルア「ーー…?」



何か声が聞こえる…?
その声で我に返り耳を澄ますと、遠くの方から聞こえてくる。

…気がついたら、足が動いていた。
まるで身体はその声の主に聞き覚えがあったかのように。


すると使われていそうにない古い倉庫があった。
倉庫だから声が響くのか、内容は分からずともよく聞こえる。

扉が開いている…。
テルアは警戒心を忘れ無防備に突っ立って中の様子を見た。



?「ーーってのに、この人数どうすんだイゾウ隊長?」


イゾウ「数揃えたぐらいで俺に勝てると思ってんのか? お目出てェなァ」


?「意気がるのも………、
っははは!イゾウ隊長、助っ人が来たぜ?
やっぱアイツも生きてたか」


イゾウ「? ーー!!?」


テルア「……あ…、えっ…と…」



居るはずのない部下に自分の目を疑うイゾウ。
その隙を見てイゾウを襲う一人の男。

しかしイゾウはそれに気づき発砲した。
襲った男には当たらず流れ弾として、その男の仲間に当たる。
それが彼らの怒りを買ったのだろう。
武器を取り出し、イゾウに次々と襲い掛かる。


それを横目にテルアに近づく一人の男。
頭が痛い。この男……見覚えがある…?
走馬灯のように過去の記憶が頭をチラつかせる。



テルア「……っ…」



心臓の鼓動が早くなるのを感じながら、テルアは男から目を離さずジッと見つめてる…。

けれどどんなに見つめても、それ以上テルアは思い出せもしないし、目の前にいる男の名前すら分からない状態だった。
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