記憶の渦
□08 日記
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ペラ…、ペラ……。
あれからしばらく日記を読んでいたテルア。
日常の平和な事柄が書かれている、過去に自分が書いたと思われる日記。
自分の字なのに、見覚えのない出来事ばかりだ。
また変な気持ちになるが、ページを捲るにつれて、自然と自分が楽しそうだった事が伝わってくる。
……最初に書かれていたページは入団してしばらく経った時の事だった為に、入団前の事は分からなかった。
この日記の内容は主に、日常・敵船退治・島へ寄った時の事……それに加え初めて手配書が出回った時の事も書かれていた。
テルア「この手配書…、…初めての手配書なのか……」
大した実績を残した訳ではないのに、初回から7000万超えだったらしい。
…白ひげ海賊団に所属している事が額の理由として大きいのかもしれない。
しばらく手配書を見つめ、また視線を日記へと戻す。
×月◎日
今日はイゾウ隊長が朝から不機嫌だった。
いつもの事ですが。
寝起きのあの人は相変わらず怖いなぁ。
自分はこれ以上不機嫌にならないよう距離を取っていたのに、何が不満だったのだろう?
足を踏まれました。痛かった。
涙目です。…これは嘘ですがね。
…あぁそういえば、あの人は今日もいつも通りだった。特に何も無い。
自分の考え過ぎなんだろうが、それでもどうも気に入らないですねぇ。
しばらく監視をしてみようか。自分の気が収まるまで……。
テルア「ーーあの人…?」
時々内容に出てくる、あの人…という人物。
内容的にあまり親しい仲ではない、むしろ警戒をしている?
……何故…?
ページを進めていくと、1回だけ、名前が出ている内容があった。
ジン≠ニーー。
テルア「ジン……ジ、ン……?」
今まで何を見ても記憶に変化はなかったが、ジンという単語を頭で繰り返している内に、何かを思い出せそうな気がした。
テルアは記憶が戻るチャンスかもしれない…と、意識を集中し、目を瞑る。
ーージン、という人物。
今までにはない感情が、込み上げてくる。
何だろうか?
……楽…ではない
喜でもなく……
…哀でもない………、
…怒り?
それに気づいた時、何だか急に頭が重くなった……、
何かを思い出せそう…な……ーー。
…プツン、とテルアは意識が途切れ、机の上で眠るように気を失った…。