記憶の渦
□12 距離
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あれから何日が過ぎただろう…。
分からない。
でも…今はどうでも良かった……。
テルア「………」
ここにいるのは息苦しい…。
先ほど窓から島が見えた。
街もあるようだ。
…ああ、そうだ。
そこでこれからの事を考えよう。
そして…ーー、
✱
✱
サッチ「あー…っほん。テルアー、メシ持って来たぞー?」
咳払いを一回して、扉の前でテルアに話しかけるサッチ。
片手にはまだ湯気がたっている美味しそうな料理がある。
いつもサッチが作って届けに来ているようだ。
少ない量でもテルアが栄養失調にならないよう考えこまれた料理。
今は…自分にはそれしか出来ない。
でも少しずつでも会話はしよう。
料理も全部完食してもらえるようにしないと。
小さな目標から、コツコツと。
そう胸に決めてテルアの返事を待つが一向に扉は開かない。
いつもならもう出てきてもいい筈だ。
………
……
いや…違う。
ふと、気がついた。
サッチはまさかと思い、部屋の扉をすぐに開けた。
…鍵が開けっ放し。
部屋の中は窓も開けっ放しで……、
部屋には何と誰もいなくもぬけの殻だった。
サッチ「っ…おいおい……!」
急いで皆に知らせなければ。
そう部屋を出ようとしたサッチだが、机の上にメモが見えたのに気づき内容を読んだ。
『勝手に船を降りてごめんなさい
故郷へ帰ります
一人でも大丈夫ですので心配しないで下さい。』
サッチ「…え……?」
故郷へ帰る=c…?
…何を、言ってるんだ?
確かにエースから故郷の記憶も飛んでるとは聞いてはいたが、でも、あいつはもう…ーー。
テルアには、帰る故郷は無い
無いから俺たちの船に乗ったのだ。
居ていい居場所を与えたんだ。
なのに、故郷へ……?
ーーまさか、記憶全部を思い出した訳ではないのか?
ならテルアは一体、どこまで記憶を思い出したんだ…?!
サッチはこの事をすぐに白ひげに伝えに行くため、部屋を出た。