記憶の渦
□04 船出
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「テルア、道中で食べなさい」
テルア「おばさん…」
話し合いが終わり、外周辺に海兵が見当たらないのを確信した後、おばさんはテルアに弁当を渡した。
エース「………」
テルア「………」
「おらテルア、歳はお前のが上だろうが、ちゃんとこの人の言うこと聞けよ?」
「アンタ子どもじゃないんだから」
「バーロこいつは俺の息子のようなもんだ、子ども扱いして何が悪い?」
テルア「!」
旅立ちと言えど、急にそうしなくてはならなくなったので、テルアには先々の不安があった。
しかし、そんな不安が軽減したのか、テルアの顔は自然と和らいでいた。
テルア「――いってきます」
「ああ、いってこい!」
「気を付けるのよ」
テルア「はい!」
テルアは深々とお辞儀をし、出発したエースの後を追う。
エース「………」
(間違っても、絶対連れて帰るな…――。)
最初は俺だって、そんなつもりは無かったんだ…。
でもこうしなきゃいけない理由が出来ちまったから。
…テルアは、本当に何もかも覚えていないんだ。
海賊だった事も、
何故自分が、海賊になったのかも…――。