記憶の渦
□04 船出
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いつもは平穏で静かな港なのだが、今日は緊迫した雰囲気の状態であった。
「何だよ!テルアにーちゃんが何したってんだ!」
「あの、何かの間違いでは…!?」
「何度も言った筈だ!コイツは“双剣のテルア”!!海賊だ!!」
テルア「………」
テルアは海軍に捕まっていた。
最初からテルアを捕まえに来たかといえば、そうではない。
ただ島があったので、徘徊がてら島に異常は無いか、立ち寄っただけであった。
なら何故捕まったか?
この島は、テルアという若い青年が守ってくれているから大丈夫だ。と島の人が口に出したのが原因であろう――。
「貴様、他に仲間はいないだろうな?」
まさか一人でこの島にいたわけではあるまい…?
テルア「……知りません、」
「何…?」
テルア「自分記憶が無いので、仲間って言われても分かりません」
「記憶が無いだと…? 自分がどこの海賊だったかも分からないというのか!?」
テルア「………」
テルアは静かに頷いた。
海軍は信じられないという顔や、嘘をついているんじゃないかと疑いの声も上げていた。
しかし何を言われても、テルアは何も言えない。
本当に、覚えていないのだから…――。
「ふん…だが、例え覚えていなくとも海賊は海賊だ、大人しく連行されろ」
そう言うと、命を下された海兵はテルアを連行する。
子どもはともかく、テルアが連行される事について、大人は誰も止めなかった。
いや、正確には止められなかった。
テルアが海賊で、連行するのは海軍だから…。
?「――火銃っ!!」
ボボボッ!!
『!!!?』
どこからか火の玉が飛んできて、テルアを囲んでいた海兵を中心にその火の玉によって皆ヤケドを負った…。