記憶の渦
□04 船出
1ページ/5ページ
(テルア、俺の隊に入れ――)
夢を見た。
浜辺に自分は居て、海が蒼く綺麗に見える場所で、誰かと話している。
起きたらその誰かの姿が綺麗サッパリ消えてしまう…そんな不思議な夢を見た。
テルア「……誰だったんだろ…?」
「何がだテルア?」
テルア「………。 おじさんノックぐらいして下さい」
一人言のつもりで言った筈の言葉に返事が聞こえ、その方を向くテルア。
そこには何時からいたのやら、おじさんが部屋の扉のすぐ横に突っ立っていた。
「いつもの事だろう、気にするな」
テルア「気にしない年頃ではないので気にします」
「相変わらずお堅いなお前は」
「アンタが柔らか過ぎるのよ、まったく…。 テルア朝食出来たよ、食べに来なさい」
テルア「はい」
ここに来た時から続く日常。
それが今の当たり前。
でもその当たり前は、ずっとは続かなかった…。
*
*
エース「…っくそ……」
電伝虫の通話が切れた後、エースは宿に行く事なく野宿をしていた。
あまりよく眠れなかったようで、疲れたような顔をしている。
テルアを連れて帰ってはいけない…。
その判断は仕方ないとは思っている。
でも、連れては駄目なら、もう一度ぐらい会う事は、どうか許してほしい……エースはもう一度、食堂屋へ向かった…。