記憶の渦

□10 遡る記憶(2)
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テルアがジンとイゾウを刺した。

……イゾウについては、ジンが皆にそう伝えたらしい。
海賊嫌い≠セから俺たちを今まで憎んでいて、そして今日思い立ち、俺たちを刺したのだろう……とまで。


眠りについていた隊長は全員起き、船員も次第に起きてきてその話題ばかりの会話をしていた。
そして皆、状況を見ていなくともジンを刺した所を見ていた船員やジンの話を信じ、全てがそうなのだと思い込んでテルアを目の敵にした。


一方、ジンは今腕の治療を受けて終わったらしいが…問題はイゾウ。
手術を施しても危ない状況であるらしい…。今も手術中で、状況がどう転ぶか分からない。



「テルアは今どこにいるんだ親父?!」


「許せねぇよあいつ…!!」


「っち……海賊憎んでるからって俺たちに刃ァ向けるとはよ…!」



隊長全員…ではないが、白ひげの部屋に押しかけてきた隊長たち。

仲間を傷つけられたのだ。
誰もが憎み、怒りでいっぱいだった。



白ひげ「…テルアは今別室に閉じ込めてるだけだ」


『!』


「テルアの処分は…?!」


白ひげ「………」



実は隊長たちがここに来る前、
16番隊の中の、特にテルアと親しい仲であった船員たちがここへ来たのだ。

内容は、テルアをまだ処分しないでくれ…との事だった。



(頭が可笑しいのかもしれねェ、後々後悔もするかもしれねェ……っでもよォ!)

(…テルアの言われように、俺らすっげぇ腹立つんだよ………っ! あんな事あっても、テルアを…信じたい自分がまだっ、いるんだ…!!)

(頼む親父……!)



ジンやそれを見ていた船員を信じたい。
しかし、それでもテルアを信じたい者も居たのだ。


…白ひげも、その一人だった。
だから船員の言葉をその後すんなり了承し、まだ処分は下していなかった…。



白ひげ「この件はしばらく待て。 まずは、イゾウの安否を心配してやれ…」


『………』



長い長い夜……。
イゾウの手術は明け方近くに及び、結果手術はなんとか成功…。

しかし目を覚ますかは、後はイゾウ次第。
テルアの処分はイゾウが目を覚ました後にどう判断をするか決める事になった…ーー。
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