記憶の渦
□09 遡る記憶(1)
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テルアが白ひげ海賊団に入団し、2年近くが経つ頃。
平穏な日々を送っていた時に、甲板にてとある人物が目に映った。
それが、ジンだった…。
ジンはここの古株で何度か会ってはいたがそれは廊下ですれ違う程度。
なので尚更、話す機会もなかった。
…だが船員が大勢いるのでそれは珍しくはないそうだ。
テルア「………」
今ジンはイゾウと話をしていた。
16番隊に所属しているからでもあるのか、ジンとイゾウは特に仲が良かった。
…ジンに対する皆の第一印象は、明るくいつも笑顔である事。
とても親しみやすいやつだ、と皆口を揃えて言う。
古株なだけに色んな隊長とも仲が良いようだ。
しかし、テルアはまだ話すらしていないのにどこか不機嫌な顔をしていた。
サッチ「おいテルアー? 何ボーっとしてんだよっ」
テルア「!…っ…と、……サッチ隊長」
サッチの一声により我に返ったテルア。
そして何事もなかったように、テルアはサッチや後から来た船員たちと楽しい一日を過ごしたのだった。
✱
✱
テルア「えぇー、自分がですか…?」
「頼むテルア!俺たちじゃ絶対無理なんだよー!」
「お前ならやれる!」
テルア「撃たれてこいと言ってるようにしか聞こえませんね…」
日は変わって、とある日の朝。
イゾウに用がある船員たち…なのだが、まだ部屋で寝ているらしい。
そこで偶々通りがかったテルアに、イゾウを起こしてきて欲しいと頼んでいるそうだ。
イゾウは寝起きが悪い。
下手すれば撃ってくるから大変。
安易に入れない…のだが、何度かテルアはイゾウを起こした事がある為か頼まれる事が多い。
テルアは必死に頼んでくる船員に心が折れ、渋々イゾウの部屋へと向かっていったのだった…。