記憶の渦

□07 思い出の品
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テルア「………」



ある日、ふと荷物の中に綺麗に折り畳んで入っていた自分の手配書を見ていた。


自分に懸けられた額にも驚くが、それよりも『双剣』という異名が気になった。

双剣というからには、自分は剣を扱っていた…?
疑問に思うことから、テルアが船に乗った後に剣を握り始めた…そう思った。



テルア「………海賊…か」



そう言えば、何故自分は海賊になったのだろう?

自分は別にそれほど強くはないので力を買われた訳ではないだろうし、海賊の役に立つスキルを持った覚えはない。

スキルと言えば、子どもの頃に憧れて練習するようになった『ジャグリング』なら、人を喜ばせる事は出来るだろうが、いまいち海賊との接点はない。



テルア「…考えても分かりませんね」



テルアは息を吐き、手配書を机にしまって部屋を出ていく。

…すると、何故か部屋の前に数人の船員がいて、鉢合わせると互いに驚いていた。



テルア「…え、えっと……何か?」


「ぁあいや! 少し用があってよ、」



少々よそよそしい態度の船員たち。
しかし他の船員とはどこか違うような……懐かしい。そんな気持ちになる。

ーーそれは彼らが、16番隊に所属する船員たちだからだろう。
テルアに会いに来たのだが、部屋をノックする前にテルアと遭遇したようだ。



「悪い、中入っていいか? ここじゃちょっとよ…」


テルア「あ…、はい。どうぞ」



テルアは船員たちを招き入れる。
適当に座りだした船員たちのように、テルアも座る。



「イゾウ隊長には内緒で。 多分止められると思って、こっそり来たんだ」


「これら持ってくるのに、入るのすっげぇ勇気振り絞ったんだからな」


「それ言うーなっつの!」



何の話だろう?と船員たちの話を聞いていると、差し出されたのは色んな物。

本・小さな箱・写真・服・刀2本にナイフ数本………最初は驚いたが、これもどこか懐かしい物たち。


これは、テルアが乗船時に使っていた数々の思い出の品。
船員たちはここへ来る前に、テルアの本当の部屋に入り、ここまで持ってきたそうだ。



「俺たち、テルアに記憶を思い出してほしいんだ」


テルア「!」



記憶……何をしたのかは分からないが、テルアに対して罪の意識がどこかある白ひげ海賊団。
よそよそしい態度もそれの所為であろう。

記憶を思い出しても双方ツラい思いをするかもしれない。
だが思い出さなければ、船の中はいつまでも前へ進めない者たちばかりのまま……。


この場にはいない16番隊の人や他の隊も、このままじゃダメだと思っている者は少なくない。
部屋にいるのはテルアと特に親しかった者たちで、尚かつテルアに記憶を思い出してほしい者達の代表でもある。

ここへ来れなかった者は隊長に知られぬ様に、フォローしているようだ。



テルア「……自分は、16番隊所属なんですか?」


「ああ、そうだ。 …俺たちとイゾウ隊長で、結構バカやってたんだぜ?」


テルア「(イゾウ……隊長…)そうなんですか…、」



テルアにとっては分からない事だらけ。
目の前にいる人物らは初めて会った筈なのに、そうではない。

なんだか記憶が混乱して気持ち悪くなりそうだ………。
しかし彼らと同じく、記憶を思い出したいのは同意。


一呼吸おいて、気持ちを整理した。
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