記憶の渦

□04 船出
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(テルア、俺の隊に入れ――)



夢を見た。
浜辺に自分は居て、海が蒼く綺麗に見える場所で、誰かと話している。

起きたらその誰かの姿が綺麗サッパリ消えてしまう…そんな不思議な夢を見た。



テルア「……誰だったんだろ…?」


「何がだテルア?」


テルア「………。 おじさんノックぐらいして下さい」



一人言のつもりで言った筈の言葉に返事が聞こえ、その方を向くテルア。

そこには何時からいたのやら、おじさんが部屋の扉のすぐ横に突っ立っていた。



「いつもの事だろう、気にするな」


テルア「気にしない年頃ではないので気にします」


「相変わらずお堅いなお前は」


「アンタが柔らか過ぎるのよ、まったく…。 テルア朝食出来たよ、食べに来なさい」


テルア「はい」



ここに来た時から続く日常。
それが今の当たり前。

でもその当たり前は、ずっとは続かなかった…。








エース「…っくそ……」



電伝虫の通話が切れた後、エースは宿に行く事なく野宿をしていた。
あまりよく眠れなかったようで、疲れたような顔をしている。

テルアを連れて帰ってはいけない…。
その判断は仕方ないとは思っている。


でも、連れては駄目なら、もう一度ぐらい会う事は、どうか許してほしい……エースはもう一度、食堂屋へ向かった…。
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