恋に落ちた海賊王
□絆
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※ネタバレ注意です!
☆☆Side ☆
ソウシさんと結婚して、もう2年。
私達の診療所には毎日沢山の人が訪れ、とても賑やかだった。
記憶喪失になってしまったヤマトの人々も、当初は皆が回復するまでにはかなりの年月がかかるだろうと言われていたけれど、ソウシさんの努力のお陰でもうヤマトから記憶喪失の人はいなくなっていた。
今日も診療所は大賑わい。
老人「先生〜膝が痛くてたまらんのじゃ…ちと診てくれんかの?」
ソウシ「おや、それは大変だ。さぁ、こちらへ…」
ヨロヨロと歩くお爺さんを優しく支えながら椅子に座らせるソウシさん。
このお爺さんは常連さんで、本当はどこも痛くないのだけれど、話し相手が欲しいらしく、ほぼ毎日顔を見せるのだった。
そんなお爺さんに対しても困った顔一つせずに笑顔で話を聞くソウシさん。
もちろん、こういう患者さんからはお代はもらわない。
優しい笑顔でひたすらお爺さんの話に耳を傾け、話が終わると「またいつでも来て下さいね。」と微笑みかける
私はそんなソウシさんを見る度に、この人と結婚できて良かったと強く感じていた。
ふと診療所の窓から空を見上げる。
空は雲一つなく、爽やかな青空が広がっている。
もうシリウス号を降りて2年以上が経つ。
揺れない地面にも、波の音が聞こえない生活にも慣れたけれど…
(シリウスのみんな、元気かなぁ…)
私はシリウス号で過ごした日々を思い出していた。
その時、診療所の出入り口のドアが勢いよく開いた。
「センセー!センセーいるか?!」
聞き覚えのある声に驚いていると、ロイ船長とファジーさんが診療所に駆け込んできた。
ソウシ「ロイにファジー…!一体どうしたんだい?」
ロイ「センセー!大変だ…シリウスの奴等がヤマト海軍に捕まっちまった!」
☆☆「ええっ?!」
ソウシ「なんだって?!」
私は全身の血の気が引く感覚に襲われた。あまりのショックに身体が震えてきてしまう。
隣のソウシさんを見ると、ソウシさんも真っ青になっている。
ロイ船長曰く、いつもみたくシリウス号を冷やかそうと遠くから後をつけていたら、いきなり何十隻ものヤマト海軍の船がシリウス号を取り囲み、凄まじい数の海軍が船に乗り込み、ついにはシリウスの皆を逮捕して去って行ってしまったらしい。
今まで数々の困難な戦闘を勝ち抜いてきたシリウス海賊団だけれど、ヤマト海軍は世界でも有名な強者揃い。
そんな海軍の船、一隻でも厄介なのに、何十隻も来られたのでは成す術が無かったのだろう…とロイ船長は苦しい表情で語った。
ロイ「センセー…助けなくていいのか?もう今日中には処刑されるぞ!」
ソウシ「助けなくていい訳ないだろう!☆☆、私は海軍本部へ向かう。今は患者がいないから、すぐ診療所を閉めてくれ…いいね?」
☆☆「はい!私も一緒に行きます!」
私がそう言うと、ソウシさんは険しい表情で私を見つめた。
ソウシ「☆☆、ヤマト海軍はかなり手強いんだ。妻である君をそんな危険な場所に連れて行く訳にはいかない。」
☆☆「それでも!シリウスのみんなは私にとっても大切な仲間です!黙ってここで待っているなんて出来ません!」
ソウシ「☆☆…」
ソウシさんは辛そうな表情を浮かべていたけれど、「分かった…」と言って、私の手を強く握ってくれた。
ソウシ「…絶対に私から離れない事…約束出来るね?」
☆☆「はい!」
ファジー「そうと決まれば急いで向かうよ!あっちの気まぐれで早くに処刑されちまうかもしれないからね!」
私達はロイ船長とファジーさんと一緒に全速力で海軍本部に向かった。
みんな…今、助けに行くから
どうか無事でいて…!
私は涙が溢れそうになるのを抑えながら、必死に走り続けた。
→続く→