恋に落ちた海賊王

□夏だ!宴だ!百物語だ![ソウシ恋人設定☆]
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―日付が変わった頃、百物語は93話目まで終わっていた。残り7話。ちょうど各メンバー1話ずつ話して100話だ。

これまで、怖がりのトワと☆☆が失神寸前になったり、号泣し始めて手に負えなくなり、順番通りに進められなかったが、他のメンバーが気を利かせて怪談話を披露して、なんとかここまできた。


リュウガ:「よし、ロウソクはあと・・ひい、ふう、みい・・7本だな。」


ソウシ:「ちょうど人数分だね。」


リュウガ:「よし、最後は一人一話ずつだ。勿論、百話目は俺が話す。」


ハヤテ:「はぁ?何で?」


リュウガ:「クライマックスは俺じゃないと盛り上がらないだろうが。」


全員:「「はぁ・・」」


シン:「・・ドクター、大丈夫ですか。」


シンの視線の先には、☆☆に強く抱きつかれたソウシの姿があった。

☆☆は胡座をかいたソウシの上に股がるようにして、ソウシの首に腕を回して抱きつき震えている。


端から見れば、ちょっとアレな体制だが、今の☆☆はそれどころではない様子。


ソウシ:「アハハ。私は大丈夫だよ、シン。☆☆ちゃん、もう少しで終わるからね?」


☆☆:「それが怖いんですぅ・・(涙)」


ソウシ:「あぁ、そうか。百話終わると何かが起きるんだったね。」


トワ:「はうぅぅ・・もう心臓が持ちませんっ!(涙)」


シン:「・・ったく、ピーピーピーピーうるさい奴等だな。喚いていても終らないだろうが。ボケ」


☆☆&トワ
「はぅ・・(凹)」


シン:「・・次は俺が話すぞ。これはつい最近の話だ。」


全員:(ドキドキ・・)


シン:「つい3日前、港に寄っただろ。自由行動をしている時に、見知らぬ女に突然、真剣交際を申し込まれたんだ。まぁ、それは別に珍しい事でも無いんだが。」


☆☆:(あり得る、シンさんならあり得る・・)


シン:「俺は面倒なのはお断りだ。その女には交際などする気は毛頭無いと伝えて、その場を去った訳だが‥」


シン:「どういう訳だか、俺の行く先、行く先、その女が姿を現せて、その度に熱い視線を向けてきた。本当は、そのしつこさに激しい怒りを抱いたが、その女と話している時間が無駄だと思って、無視し続けて、俺は船に帰ってきた。」


トワ:・・ガクガク・・(嫌な予感‥)


シン:「・・ところがだ。船にもその女は現れた。」


ハヤテ:「は?どういう事だよ、シン!」


シン:「・・(無視)。その女は船でも俺の目の前に現れては熱い視線を送ってきた。ハヤテやトワの目の前にも現れた事があるが、気が付かないようだったな。」


ハヤテ:「だから、どういう事なんだよ!!(汗)」


トワ:「シンさぁぁぁぁん!!(号泣)」


ここで、シンが話すよりも先に☆☆がソウシに抱きついたまま顔だけシンの方に向けて震える声で言った。


☆☆:「それ、絶対に生き霊ですよねぇ?!(泣)」


シン:「ま、そうだろうな。」


ソウシ:「へぇ。詳しいんだね、☆☆ちゃん」


☆☆:「うぅぅ・・(怯)」


トワ:「・・えっ、それって、3日前の話ですよね・・?じっ、じゃあ・・今は?!(怯)」



シン:「・・・知りたいか?(ニヤリ)」



トワ:「うわあぁぁぁぁぁんっ!」


☆☆:「もうやだぁーーー!!」(ギュッ!)


ソウシ:「うっ・・☆☆ちゃん、け、頸動脈!頸動脈っ!」


☆☆:「わっ!!ごめんなさいっ!!(汗)」


シン:「ククク・・。まぁ、女に向けて発砲してからは現れてないがな。」

全員:「「ホッ・・・」」



シン以外のメンバーがホッと胸を撫で下ろした時だった・・


リュウガ:「・・おい、何か奥の方から変な音が聞こえて来ないか?」



―ピチャッ・・ギシッ

ギシッ・・ギシッ・・



ソウシ:「・・誰かが歩いて来ているね。」


ナギ:「・・マジでか。」


ハヤテ:「おいっ、シン!!なんとかしろっっ!!お前が連れて来たんだろ!!」


シン:「チッ・・面倒くせぇな。」



☆☆&トワ
「ぎゃーーーーーーー!!!(発狂)」



ソウシ:「おやおや、まだ百話終わっていないのに、せっかちな幽霊さんだね。(ニコニコ)」



そうこう言っているうちに、足音はどんどん近くなり、ユラリと人影が見えた。


メンバーはソウシにしがみついている☆☆以外、みんな武器を構えて警戒する。



―ズルッ・・ピチャッ・・ギシッ



ついに人影が光に照らされた。

そして・・


??:「う、うぅぅ・・・」


人影が声を発した。


☆☆&トワ
「うぎゃあーーー!!シンさん!シンさん!シンさぁぁぁん!(狂)」


シン:「やかましい!聞こえてるわ、アホ!」


ソウシ:「☆☆ちゃん、☆☆ちゃん、け・・頸動脈・・」


その時、リュウガが怪訝な表情で人影をみつめた。


リュウガ:「なんだ・・お前・・」


みんな一斉に注目する。


リュウガの視線の先にいるのは、シリウスのメンバーは嫌という程見た事のある人物だった。


「・・ロイ?!」


そこにはずぶ濡れのロイが立っていた。


リュウガ:「ブッハッハッハッ!何なんだ、そのザマは!」


ソウシ:「ずぶ濡れだね。まさか泳いで来たの?」


現れたのがロイだと分かったメンバーは、身構えつつも唖然としている。


この様子からいって、襲撃ではないだろう。近くにリカー海賊団の船も見当たらない。


ロイ:「・・借りを返してもらう」


リュウガ:「あ?相変わらず変な奴だな、お前。」


ロイ:「うるさい!この前の借りだ!忘れたか?!」


リュウガは、う〜んと顎ヒゲを撫でながら考えた。


リュウガ:「借り・・借り・・あぁ、アレか。」


リュウガはシリウス船が海軍に襲撃された時に、リカー船のメンバーが戦力に加わってくれた事を思い出した。


警戒したシンがロイに向かって銃を向ける。


シン:「・・で、何を望んでいるんだ?」


ロイ:「だーっ!!銃を向けるな!泊めろ!この俺様を泊めろ!」



全員:「「はぁあぁぁぁぁぁ?!」」

ロイ:「・・ファジーを本気で怒らせちまったんだよ!」


全員:「「・・・はい?」」


リュウガ:「一体何をしでかしたんだ?」


ロイ:「最近、ファジーの奴、変に色気づきやがって『ソウシ様の為に女を磨く』とか言って通販で大量のダイエットグッズを買いやがった。お陰で船はダイエットグッズで溢れかえっている。」


全員:「「・・うわぁ・・」」


ロイ:「だから言ってやったんだ。『無駄過ぎるからやめとけ』ってな。」

☆☆:「ひどい・・」


ロイ:「そうしたらアイツ、ブチ切れやがって・・この俺様を海に突き落としたんだ!」


ロイがキッとソウシを睨む


ロイ:「おい、船医!元と言えば貴様のせいだ!」


ソウシ:「えっ、私?!」


☆☆:「そんな、無茶苦茶な・・!!」


ロイ:「とにかくだ!泊めろったら泊めろ!」


リュウガ:「そうは言ってもなぁ・・」


リュウガが腕を組んで悩んでいると、ロイが来た方から、今度はドスドスと重みのある音が近づいてきた。


?「・・イ様!ロイ様!」


ロイ:「ゲッ!ファジー?!」


☆☆:「ファジーさん!」


ソウシ:「良かったね、お迎えが来て。」


ロイ:「良かったじゃねぇよ!・・俺は逃げるぞ!!」


ロイは凄い速さで走り、再び海に飛び込んで夜の海を泳いで行った。


ハヤテ:「うわぁ、また泳いで行ったぜ。」


トワ:「凄い体力ですね・・」



―ドスドスドスドスドスドス!!


ファジー:「ロイ様〜!どこじゃ〜!!」


リュウガ:「ロイなら海の中だぞ。」

ファジー:「(無視)あっ!ソウシ様!」


☆☆:「!!」


ファジー:「ソウシ様!ソウシ様!」

―ドーーーン


☆☆:「ちょっ・・何押し倒して・・」


ファジー:「ソウシ様!今夜こそ、アタシをソウシ様の手で大人の女に・・」


ソウシ:「あはは・・相変わらず元気だね、ファジー。」


☆☆:「ちょっと!ちょっと!ストーーーップ!!」


ファジー:「なんだい、アンタ。生きてたのかい。」


☆☆:「生きてます!生きてます!お陰様で!!・・って、どいて下さい!!!」


ファジー:「なんだい!アタイみたいなダイナマイト雌豹に勝てるとでも思ってるのかい?!」


ハヤテ:「プッ・・腹もダイナマイトだけどな」


ファジー:「な〜に〜〜〜!?(怒)」


ソウシ:「ははっ。ごめんね、ファジーちゃん、私にはもう可愛い恋人がいるからね。(笑顔)」


シン:「うわぁ。笑顔で残酷な事を」


ファジー:「えっ・・・?!」


☆☆:「ごめんなさい・・ファジーさん・・。」


ファジー:「・・・ボェェーーー!」

トワ:「あっ、泣いちゃった。」


ファジー:「アタイが、こんな小娘に負けるなんて!キィーーーッ!!」


―ドスドスドスドス・・ボッチャーン

ハヤテ:「うわぁ、飛び込んだぜ。」

シン:「ま、どうせ死なないだろうがな。」



ロイとファジーのせいで、すっかり百物語処ではなくなったメンバー達は、それぞれの部屋にもどり、眠りに就くのであった。
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