恋に落ちた海賊王
□絆
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どれくらい走っただろう。
私達はやっと海軍本部の前に着いた。
ヤマト海軍…
小さい頃から話に聞いてはいたけれど、本部まで来る事なんてなかった。
初めて見る威圧感が漂う外観に思わず息をのんでしまった。
(ここに、シリウスの皆がいるんだ…)
私達は身を潜めて見張りの海軍の様子を伺う。
海軍1「くそー…何でこの時間帯に限って見張りなんだ。あのシリウス海賊団の処刑だぜ?歴史的瞬間が見れないなんてなー」
海軍2「予定通りに執行してくれりゃ、少しは拝めたのにな。あと半刻で執行じゃ、とうてい無理だな。」
(半刻…!?)
私は自分が青ざめたのが分かった。
ソウシ「半刻で執行か…」
ロイ「お、おい!急がねぇとヤバイぞ!」
ファジー「アタイがあの見張りを落とすよ。ロイ様とソウシ様達は早く処刑場に向かうんだ!」
ファジーさんはそう言うと、勢いよく見張りの海軍達の前に飛び出し、あっという間に見張りの海軍を落とした。
ソウシ「ありがとう、ファジー。さぁ、行くよ!」
私達は急いで処刑場を目指して走った。
気が遠くなるくらいに広い本部の中を身を潜めながら走って移動する。
海軍「おい!見張りの奴等が賊にやられたぞ!」
すぐ近くで海軍の声が聞こえた。もう情報が回ってきている。
周りの海軍も仲間の海賊が入って来たと騒いでいる。
ソウシ「まずいな…急がないと、処刑を早めるかもしれない…」
ロイ「これはもう隠れながらじゃ無理だな。」
ソウシ「ああ…正面から突っ込むしかない。☆☆、私の後ろから離れないで、しっかりと着いて来るんだよ。」
☆☆「はい…!」
ファジー「よぅし、行くよ!」
私達は勢いよく海軍達の前に出た。
海軍「仲間の賊が出たぞ!捕まえろ!」
あちらこちらから凄い数の海軍が私達をめがけて走って来る。
飛びかかってくる海軍を次々に倒していくロイ船長とファジーさん。
ソウシさんも私を庇いながらどんどん海軍を倒していく。
私はソウシさんから離れないようにするのが精一杯だった。
凄まじい数の海軍を倒しながら進んで行くと大きな広場に出た。
広場の中央には大きな台があり、その上には今まさに処刑されようとしているシリウスの皆がいた。
五人が横一列に並べられ手足を縛られて、その首にはもう既に縄がかけられている。
もう足元の板が落とされれば皆は…
☆☆「みんな…!」
トワ「☆☆さん?!」
私に気がついたトワ君が目を丸くしている。
他の皆も私達に気がついたみたいで、信じられないという顔をして驚いていた。
指令官「クソ…!ここまで来るとは…!よし!今すぐ執行しろ!」
指令官がそう叫ぶと、執行人が「はい!」と大きく返事をして、足元の板を外すボタンに手をかけた。
ソウシ「クソっ…!」
いけない…このままでは!
でも、私以外の三人は私達を捕らえようとする海軍の相手で手一杯だった。
私は咄嗟に捕まえようとする海軍達をすり抜けて、執行ボタンを押そうとする執行人に向かって走って行き、思いきり体当たりをした。
執行人の身体は見事に転がり、死刑執行は免れた。
海軍「その女を捕らえろ!」
海軍達のターゲットが今度は私に絞られた。
ソウシさん達にかかって行こうとしていた海軍達が一斉に私をめがけて走って来る。
でも逃げる訳にいかない。
このボタンを押されたら最後だ。
私は執行ボタンの前に両手を広げて立ちはだかった。
ソウシ「☆☆…!!」
(もうダメ…!)
あと少しで海軍に捕まるという時、急いで駆けつけてくれたソウシさんが私の前に立ちはだかり、次々と海軍を倒していく。
海軍達が私とソウシさんに集中し始めた為、手が空いたロイ船長とファジーさんもこちらに駆けつけてくれた。
ロイ船長はソウシさんの援護に回り、その隙にファジーさんが皆の縄を切りに行ってくれた。
ハヤテ「痛ぇ!痛ぇよ!もう少し優しくしろ!このイノブタ!」
ファジー「うるさいね!このシーモンキーが!アンタだけ放って行くよ!」
ハヤテ「俺はあんなミジンコじゃねーし!とっとと縄を切れ、ブタ!」
ファジー「全く、こんな時でも口が減らないガキだね!…ふんぬっ!」
全員の縄がほどかれると、皆一斉に処刑台から降りて来て戦闘に加わった。
武器はもちろん取り上げられているから体術で応戦するしかない皆だけど、驚きのスピードで海軍を倒していく。
次々と襲いかかって来る海軍を倒しながら、私達は一人も欠ける事なく、ロイ船長が教えてくれたシリウス号がとめられている港まで無事に辿り着いた。
ロイ船長とファジーさんはシリウス号のすぐ隣にとめてあるリカー号に駆けて行き、無事に出港した様子。
リュウガ「よし、お前ら!ソウシと☆☆もとりあえず船に乗るぞ!」
全員「アイアイサー!」
私達も全員で急いでシリウス号に乗ると、追ってくる海軍から逃げるように出港した。
→続く→