恋に落ちた海賊王

□テストに落ちた海賊王
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―キンコンカンコーン♪



(…ん?何でチャイムの音?)



チャイムの音で目を覚ますと、私は何故か学校の教室にいた。



(あれ?私、風邪をひいて医務室で寝てたはず…)



何気なく黒板を見ると、『三学期期末試験』という文字が目に飛び込んで来た。



☆☆「えっ?!期末試験?!」



久々に見た不吉な文字に私は震えあがった。



(しかも1限目、数学だし…)



「おはよう。眠り姫さん」



聞き慣れた優しい声に振り向くと…



☆☆「そ…ソウシさん?!」


隣の席でブレザー姿のソウシさんがクスクスと笑いながら私を見ていた。



☆☆「…どっどっどっ…どーして?!」



多分、今年一番の驚きだと思う。


巨大イカも幽霊船も、ソウシさんのブレザー姿に比べたら大した事無いように思えてきた。


いや…ホント。


そう言っても過言でないくらいに…





(…かっこええ…)




思わずソウシさんに見とれていると、ソウシさんは私の目の前で手をヒラヒラとさせながら心配そうに顔を覗き込んできた。



ソウシ「おーい?☆☆ちゃん?大丈夫?もうすぐテスト始まるよ?」


☆☆「えっ?あっ、はい!」


テストという言葉に一気に現実に引き戻される私。



「テスト直前まで寝こけているとは…随分と余裕だな」



真後ろからの声に振り向くと、同じくブレザー姿のシンさんが意地悪な笑いを浮かべながら私を見ていた。



うーん…シンさんも格好良いけど、普段から制服みたいな服装だから…



☆☆「…あんまり違和感無いかも…」



シン「…は?!」



怪訝な表情のシンさん。


いけない、いけない。心の声が出てた。



「余裕だろ。なにせ、副学級委員長様だもんな!」



ソウシさんの後ろの席で机に足をドカッと組んでふんぞり反りながら嫌味たっぷりに話すのは、シリウスの二刀流金髪ツンツン頭…そう、ハヤテさんだった。



ハヤテさん…


喋らなければ、少女マンガに出てきそうなイケメンなのにね…


憧れの先輩的なポジションになれそうな感じなのに、やっぱり話すと残念なんだよなぁ…色々と。



…ってか、私…副学級委員長なんだ…。



ソウシ「こら、ハヤテ。机の上に足を乗せるなと何度言ったら分かるんだ!」



クルリと後ろを振り返りハヤテさんに注意するソウシさん。


そうだ!ソウシさん、もっと言ってやって!!



ハヤテ「へいへい。すみませんでした〜学級委員長様〜」



ソウシ「…全く…困った子だ」



随分と反抗的だな、ツンツン頭!…って、ソウシさん学級委員長なんだ!



「あうー!助けて下さいよナギさん!僕、絶対追試ですよ〜」



「…知るか。」



前の席が賑やかになったので見てみると、私の前の席にはトワ君、その隣にはナギさんが座っていた。



トワ「数学なんて無理です〜!頭に入ってこないんですもん!」



うん、うん…


わか〜るわかるよ君の気持ち♪


私も受かる気がしないもん…


…ってか、トワ君同学年なんだ…



ナギ「ギャーギャー騒いでいないで適当に書いときゃいいだろ。どうせ落ちるんだから」



トワ「な、ナギさん…そんなぁ…(;_;)」



ああ、トワ君泣いちゃった。



ソウシ「ナギ、適当になんて言っちゃ駄目だろう?私達は来年、三年生なんだよ?進路は大丈夫なの?」



ナギ「俺の場合は学力関係無いからどーでもいい」



☆☆「え…?どういう事ですか?」



トワ「ナギさん、有名な料理人さんの所に既に弟子入りが決定してるんですよ!」



☆☆「有名な料理人?」



ナギ「…川越シェフだ」





全員「…………………………。」





超有名じゃん!


ナギさん、一体どうやって弟子入りの話を持ち込んだんだろう…


っていうか…ナギさんって何者…?



ソウシ「だからって、油断していると留年になっちゃうよ?」



ナギ「…留年するくらいなら辞めるから問題無い」



ソウシ「はぁ…全くナギは…」



ソウシさん、かなり呆れている…手でコメカミ押さえちゃってる。



シン「委員長には分からないだろ。医学部に推薦確実のエリートだからな」


トワ「うわぁ!凄いですね!さすが学級委員長!」



ハヤテ「いいよなぁ…頭良い奴は余裕でさー」



トワ「そういうハヤテさんは進路考えているんですか?」



ハヤテ「あ?俺はラスク アン シェルを越えるロックバンドを結成するぜ!」



全員「…………………………。」



ソウシ「…つまり、フリーターなんだね…」



ハヤテ「そんなん、少しの間だ!すぐにビッグになってやるぜ!」



ソウシ「…トワは進路どうするの?」


ハヤテ「無視かよ!;」



ソウシさんってば、笑顔で華麗にスルー!



トワ「え…えっと、僕はペットショップで働きたいです!」



シン「…トワ、お前…売れ残った動物の末路を知ってて言ってるのか?」



トワ「もっ…もちろん、売れ残った子達はみんな僕が飼います!」



シン「無理な話だ。余程の金持ちでない限り実現不可能だ。」



トワ「そ、そんなぁ…(ToT)」



シンさん…容赦無いな…


トワ君、可哀想…



トワ「そ、そういうシンさんは進路どうするんですか?!」



シン「俺か?俺はウエーノ動物園で働く。」



全員「う…ウエーノ動物園?!?!;」



意外だわ、意外過ぎる…


みんな、これ以上無いくらいの驚愕の表情をしている。


多分、今ここにUFOが現れたとしても、シンさんの発言以上に驚く事は無いだろう。



☆☆「な…何故ウエーノ動物園?;」



シン「パンダを毎日間近で見る為だ…悪いか。」



シンさんが私をギロリと睨む。


可愛い発言と威圧のコラボ!堪りません!


あぁ…私、駄目!笑っちゃ駄目よ…!


☆☆「…ぶっ!(吹)」



シン「…貴様…(怒)」



ソウシ「ああシン!抑えて!;」



一瞬、殺されるかと思ったけど、すかさずソウシさんが間に入ってくれて事なきを得た。


…ん?そういえば、誰か足りないような…?


なんだか、とっても重要な人物のような…



「フワァァー・・よく寝たな」



テスト直前の教室に響き渡る呑気な声。


この声は…



☆☆「船長!」



どうやら、教室の一番後ろの方で寝袋に入って寝ていたらしい。


船長は大きなアクビをしてグッと身体を伸ばすと、寝袋をたたみ始めた。



ソウシ「…寝袋の持ち込みは認められていないはずだよ?リュウガ」



リュウガ「あー?相変わらずお堅いなぁ〜ソウシは!」



船長はそう言うと豪快に笑い始めた。

…船長も同学年なんだ。


私が妙な違和感を感じていると、教室に見事なバーコード頭の先生が入って来た。



先生「静かに。今からテストを開始する。」



先生はみんなが静まったのを確認するとテスト用紙を配り始めた。



うわぁ…



私なんて算数のレベルで頭爆発しそうなのに…


数学なんて全然わからないよ…(泣)



私が途方に暮れていたその時、廊下が急に騒がしくなった。




→続く→
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