knight×Laurentia!

□Knight×Laurentia!
2ページ/2ページ




会議室に重たい空気が流れる。

静かな空間にふう…とヒトラーが息を吐いた音がやけに大きく聞こえた。
彼は疲れたように空いている椅子に座る。
ルカは今だヒトラーを睨んでいた。


「…今日はもうお開きにしようぜ」

険悪な雰囲気で、それに加えメンバーが欠けている状態で作戦会議は出来ないだろうと俺はルカに提案した。

ルカは納得していないような感じだったが、苦々しく頷くと資料を纏めてさっさと出ていってしまった。

それにシストが続いて出ていく。

会議室にはついに、俺とヒトラーだけになってしまった。
ヒトラーは徐に立ち上がると、


「貴方には秘密が無いようだ…
せっかく貴方の心内を見たのに」

と笑う。
どうやら彼の魔力の一つに他人の心内を見る力があるようだった。
フィアの心内を見たときにはまわりに騎士がたくさんいたから気付かなかったが、
俺の過去を見たらしい先程は貸すかに魔力を感じた。

「…心内を見れるのか、アンタ」
「本来は未来を見たりする能力なのだが、
まず対象者の心内を見ないとならないからな」

瞳が紅く光ったような気がしたのは魔力を使ったからだろう。
だが更に疑問が増えた。

心や未来を読む能力は嫌われる傾向にある。
それを自ら明かすのは何故なのだろうか。


「彼――フィアに伝えて置いてくれ。
秘密をばらす気はないことと、私の『魔力』について今話したことを」

なるほどな。
一度知ったことはもう仕方ないし、
変わりに自らの秘密を話そうということか。

「でも何で自分で言わないんだ?」

ヒトラーは目を丸くしたのち、
くすり、と年相応の笑顔を浮かべて言った。

「彼の騎士(ナイト)が部屋に入れてくれなさそうだろう?」
「…確かに、さっきの剣幕を考えてアルは入れてくれないなうん」







 
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ