knight×Laurentia!
□Knight×Laurentia!
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私は走る。ただ、ただ走る。
「何から」逃げているのかは解らない。
でも、止まることができなかった。
ここの位置も曖昧で、何処へ逃げれば良いのか解らない。
ただ、「逃げなければ」という強い観念にかられ、それに従い私は長い廊下を走り続けた。
不意に、強い力で後ろに引かれる。
そのまま、私を引っ張ったのであろう人物に捕まった。
身長は私の方が高いようだが、生憎体格差が歴然とあり、
更に息があがり疲れた身体では逃れることができない。
「―――捕まえた」
嬉しそうにそう笑う彼。
見慣れた、金色が笑った。
それはいつもどおりの愉しそうな笑顔で。
一瞬、気が緩んでしまった。
彼――ムッソリーニの瞳が鈍く光を放つ。
気の緩んだところに、魔術を掛けられてしまった。
気付いたところで時は既に遅く。
彼の昏睡魔術は強力だ。
例え掛けられたことに気付いても、掛けられた側である私に解くことは出来ない。
混濁とする意識の片隅で、
ムッソリーニと、何故かスターリン笑っているのが見えた―――気がした。