knight×Laurentia!

□Knight×Laurentia!
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傷付けたくない、傷付きたくない。
大切な人が死ぬ姿を見たくない。
信じていた人に―――裏切られたくない。
もう二度と裏切りたくない。


そう、強く願うのは罪だろうか。


己の身に巣くう悪魔の魔力。
それを使えば、私がその気になればこの世界を滅ぼすことは容易いことも解る。


だけど。
私は極力その力を使いたくなかった。

魔力を使わず暮らしていれば、魔力保持者とは解らない。
だから、ずっと独りでいたのに。


鮮やかな金色が私の腕を掴んで、
独りだった暗闇に光を与えてくれた。

だけども私は光の中では生きられなかった。
闇を求めて、城を飛び出し――…
…――結果的にレームを殺したのは私。

粛清を命じたムッソリーニを私が責められる訳がない。
あれはただの八つ当たりだ。

そう、すべて私が悪い……。

私の魔力が、他人を幸せに出来るのだろうか。

彼――フィアの魔力は私と正反対の、暖かな光の"天使の魔力"だ。
同じ人外の魔力を持つものなら、私も彼のように生きれたら、と思う。

両親がどうしているかは知らないが、従兄のルカや、入団以来の親友というアル。
同じ雪狼部隊のシストやスターリン。
彼のことだ、きっと他の部隊にも"友"と呼べるものがいるだろう。


それに比べて私はどうだ?

ムッソリーニ達を裏切って、
挙げ句の果てに、自らの命を守るために手をかけるという作戦までたてて。
なんて、自分勝手なんだ。


これでは、あのときと同じではないか。
(そう自らを責める気持ちがあるのに、
その『あのとき』が何時か思い出せない)








 
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