knight×Laurentia!

□Knight×Laurentia!
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(ヒトラー視点)





私たちは朝早くからイリュジア王国を出発し、
夕方ごろカルフィナ王朝直轄領土へ入った。

もう、その時から任務は始まっていると言っていい。
緊張が六人を包む。

指定の場所に馬や馬車を預け、会場まで歩く。
温暖な地域である筈のカルフィナだが、私はとても冷たい雰囲気を感じる。

パーティー会場の隣の宿舎がファッショとの対面場所だ。
ルカがその建物の扉を開いた。
ここまでは問題ない、条約通りだ。


六人全員が屋内へ入り、フロントに立っていた男に奥の部屋へと案内される。
一番はじめに部屋に入るのは私だ。

ドゥーチェ……ムッソリーニが昔から変わっていないなら
他の仲間を一番最初に入れるわけにはいかない。


案内役の男によって開けられた扉から中に入る。
予想に反してそこには黒いソファに
座っているチアーノがただ一人いるだけだった。
―――ムッソリーニはいない。


「こんばんは、総統。
長旅ご苦労様ですねぇ。
皆さんお疲れでしょ?だから言いにくいんですけどぉ…」

チアーノが赤い髪を弄りながら、業と焦らすような口ぶりで言った。
私が「別に疲れていないから話していい」とだけ言うと、
演技なのか素なのか解らない嬉しそうな笑顔を浮かべる。


「やっぱり総統は優しいですねぇ?
そこの茶髪の子と総統にだけ、ドゥーチェが話があるんですって。
他の方は僕の部下に世話をさせますから、
パーティーまでごゆっくりどうぞ」


茶髪の子―――フィアのことだろう。
アルが心配そうにフィアを見つめる。
彼はそんな自身の騎士(ナイト)に一言「大丈夫だ」と声をかけた。









 
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